雪国6月11日

雪国6月11日

2017-06-11    03'39''

主播: 日语主播

63 4

介绍:
「だけど、毎日毎日ってんじゃなく、休む日もあるのよ。こんな山の中だし、お座敷へ出たって、きまりきってるでしょう。今年はペエジごとに日付の入ったのしか買えなくて、失敗したわ。書き出せばどうしても長くなることがあるもの」 “不过,不是天天都记,也有间歇的时候。在这山沟沟里,所谓出席宴会,还不是老一套?今年只买到那种每页都带年月日的,不合适。因为有时一下笔就写得很长。” 日記の話よりもなお島村が意外の感に打たれたのは、彼女は十五、六の頃から、読んだ小説をいちいち書き留めておき、そのための雑記帳がもう十冊にもなったということであった。 比起日记来,岛村格外感动的是:她从十六岁起就把读过的小说一一做了笔记,因此杂记本已经有十册之多。 「感想を書いとくんだね?」 “把感想都写下来了吗?” 「感想なんか書けませんわ。題と作者とそれから出て来る人物の名前と、その人達の関係と、それくらいのものですわ」 “我写不了什么感想,只是记记标题、作者和书中人物,以及这些人物之间的关系。” 「そんなものを書き止めといたって、しようがないじゃなか」 “光记这些有什么意思呢?” 「しようがありませんわ」 “没法子呀。” 「徒労(とろう)だね」 “完全是一种徒劳嘛。” 「そうですわ」と、女はこともなげに明るく答えて、しかしじっと島村を見つめていた。 “是啊。”女子满不在乎地朗声回答,然后直勾勾地望着岛村。 全く徒労であると、島村はなぜかもう一度声を強めようとしたとたんに、雪の鳴るような静けさが身にしみて、それは女に惹き付けられたのであった。彼女にとってはそれが徒労であろうはずがないとは彼も知りながら、頭から徒労だと叩きつけると、なにかかえって彼女の存在が純粋に感じられるのであった。 岛村不知为什么,很想再强调一声“完全是一种徒劳嘛”,就在此时,雪夜的宁静沁人肺腑,那是因为被女子吸引住了。他明知对于这女子来说不会是徒劳的,却劈头给她一句“徒劳”。这样说过之后,反而觉得她的存在变得更加纯真了。 この女の小説の話は、日常使われる文学という言葉とは縁がないもののように聞えた。婦人雑誌を交換して読むくらいしか、この村の人との間にそういう友情はなく、後は全く孤立して読んでいるらしかった。選択もなく、さほどの理解もなく、宿屋の客間などでも諸説や雑誌を見つける限り、借りて読むという風であるらしかったが、彼女が思い出すままに挙げる新しい作家の名前など、島村の知らないのが少なくなかった。しかし彼女の口ぶりは、まるで外国文学の遠い話をしているようで、無欲な乞食に似た哀れな響きがあった。自分が洋書の写真や文字を頼りに、西洋の舞踊を遥かに夢想しているのもこんなものであろうと、島村は思ってみた。 这个女子谈到小说的事,听起来仿佛同日常所用的“文学”两字毫不相关。看来这村庄人们之间的情谊,也只是交换着看看妇女杂志而已,除此之外 ,就完全是孤孤单单地各看各的书了。没有选择,也不求甚解,只要在客栈的客厅等处发现小说或杂志,借来就翻阅。她凭记忆所列举的新作家的名字,有不少是岛村所不知道的。听她的口气,像是在谈论遥远的外国文学,带着一种凄凉的调子,同毫无贪欲的叫化子一样。岛村心想:这恐怕同自己凭借洋书上的图片和文字,幻想出遥远的西方舞蹈的情况差不多吧。