家から持ってきたサンドウィッチを手渡し、自動販売機で買ったコーラを持たせる。ほうとうは映が始まる前に二人で食べようと思っていたのだが、その時間は無くなった。
ぼくは窓口で子供用のチケットを一枚買った。
さあ、楽しんでおいで
祐司は突然の予定の変更に、少し不安を感じているみたいだった。ぼくはサイフから硬貨を何か取り出し、祐司のザボンのポケットに入れた。
もし、サンドウィッチだけじゃお腹が一杯にならなかったら、ポップコーンを買えばいい。ドーナツでもいいし、好きなものを食べるといいよ。
うん
それでも祐司は胸の前でサンドウィッチが入ったランチボックスとコーラの缶をかかえたまま、動こうとしなかった。