あなたの人生交換します
会社員 男性 40歳 既婚
毎日毎日同じ繰り返し、家と会社を往復するだけの毎日。家にいても奥さんと子供からは邪魔者扱いされる。俺の人生はこんなものじゃなかったはずだ。もし人生をやり直せるなら、いや、今からでもいい。とにかく、もうすこしまともな人生を送りたい。そう思っていたら、インターネットで面白いサイトを見つけた。「人生交換しませんか?」そういう見出しから始まるそのサイト。なんでも自分の希望する人生をほかのだれかと交換できるとのこと。一体どういうことなのかよくわからない。登録は無料となってるが、個人情報を入力させられるのだから、もしかしたら詐欺の一種なのかも。でも、どうせつまらない人生だ。騙されたと思って、登録してみるか。自分の住所、氏名、生年月日を入力して、希望する人生を書く。難しいことはない、「大金持ち」それだけだ。
それからしばらく以前と変わらない日々が続き、このサイトのことなど忘れかけていたころ、メールが来た。「おめでとうございます。あなたの希望する人生の交換相手が見つかりました。」それによると、自分と生年月日が同じて、向こうは平凡な人生を希望しているとのこと。ということは、相手は大金持ちということになる。変わったやつもいるものだ。そして、気になることが書いてあった、「余命五年」。どうやら、俺と相手のお金持ちは二人ともあと五年の命らしい。あくまでの交換なので、寿命まで移出する相手でないと、だめなのだそうだ。そういう意味では、相手が見つかるのは登録者の0.01%にも満たないらしい。それはとにかも、俺の命があと五年。そう考えると、どうしようもなく暗い気持ちになるが、残された人生をすきなことをして過ごせるのだから、よしとすべきか、しかもお金は使い放題で。こうして俺は貯金だけで60億円もある超大金持ちになった。五年でするなら、一年に12億だ。どうやって使っていいか分からない。取り合えず毎日遊んで暮らすか。さっそくトランクに札束を詰め込んで、夜の街の繰り出した。その日の帰り、俺は飲酒運転をして、人をはねてしまった。金さえあれば、簡単にも見消せると思った。が、世の中そんなに甘くない、俺は5年間刑務所を中で過ごし、そのまま刑期を終えることなく心臓発作で獄中死した。
まとも: 真面目、きちんとしていて、いかがわしい点のないこと
見出し:新聞、雑誌などの記事の内容が一目でわかるようにつけた課題
生年月日(せいねんがっぴ)
余命:これから先に生きられた命
あくまで:徹底的
札束(さつたば):紙幣を束にしたもの。また、多額の金