義彦:あ、もしもし。
紀子:あ、義君。
義彦:うん。あの、今さあ、「ホットドック」で、中村たちと飲んでんだけど。
紀子:あ、そう。
義彦:うん。
紀子:じゃ、あんまり帰り、遅くならないでね。
義彦:いやいや違うんだ。みんながさあ、近くなんだから奥さんも呼べばって、言ってるんだよ。
紀子:え、私が?今から?
義彦:今から。出てくれない?
紀子:ええっ、今から?
義彦:いや、たけし、もう寝てるんだろ?
紀子:そうだけど。もう10時よ。
義彦:今日は、お母さんも家にいるんだから、大丈夫だろ?
紀子:でも、もう化粧も落としちゃったし、お風呂に入っちゃったから、髪の毛も濡れてるし。邪魔くさいから、適当に断っといてよ。
義彦:無理?来ればいいじゃん。
紀子:子供が熱出したとか、残念だけどとか、言っといてよ。
義彦:ううん。
紀子:悪いけど、こんな時間に外出るのはいやよ。わかってればそのつもりしてたんだけど。
義彦:はいはいはい。わかったよ。じゃ、あの、遅くなるかも知んないからね。
紀子:じゃ、飲みすぎないでね。
義彦:はい、わかった。じゃあね。
紀子:うん。