そんなわけで、ぼくは画家になるのをあきらめて、飛行機のパイロットになりました。そして、世界中の空を飛んだのですが、そのとき、まさに地理が役に立ったのです。ぼくは、一目で、自分がどこを飛んでいるかわかりました。それは、パイロットにとって非常な強みです。ぼくは、これまでの人生で、とっても多くの、とっても頭の固い大人たちに会ってきました。そんな大人たちのあいだで生きてきたのです。
すぐ近くから彼らを観察してきました。そして、今でも、「やっぱり大人たちはわかっていない」と思っています。ときどき、この人ならわかるかもしれない、と思うことがあります。そんなときは、いつも、第一号の絵を見せることにしていました。
ものごとの本質が見えるかどうかを試してみたのです。でも、答えはいつもこうでした。「帽子がどうかしたの?」ぼくはがっかりして、熱帯雨林のことや、大ヘビのことや、星のことを話すのをやめました。そして、ゴルフのことや、政治のことや、お金のことを話したのです。そうすると、相手の人は、ぼくをまともな大人だと思って安心するのでした。