半沢直樹21
半沢:湯浅社長、唯一御社を救う方法を見つけました。これから申し上げることはうちの大和田と羽根専務がした提案以上に酷なことかもしれません。湯浅社長、フォスターの資本を受け入れてください。
湯浅社長:このホテルを売れというのか。しかもよりによってフォスターに!あそこはうちの再建計画を潰した張本人じゃないか!
半沢:貴方の立場になって、徹底的に考えました。何かできるか、どうすべきか。そしてたどり着いたたった一つの答えがこれです。実はかねてよりフォスターは日本進出の足掛かりとして買収合併できる企業を探していたんです。向こうにとっても、今回の提案は渡りに船だ。決して悪い話じゃない。今、私の同期が五分五分の条件で合併できるよう全力でフォスターと交渉しています。資本受け入れの条件として、あなたの続投も必ず認めさせるつもりです。傘下に入れば、米国最大手のホテルチェーンが持つ。
グローバルな予約システムが使用可能になる。人材もノウハウもすべて手に入れることができます。今の窮地を乗り切るだけでなく、伊勢島ホテルが将来、一層飛躍するためにベストな選択だと、私はそう確信しています。もちろん、相手は怪物フォスターです。完全に飲み込まれてしまう可能性だってあるでしょう。ですが、湯浅社長、あなたなら生き残れる。伊勢島ホテルの名前を守ることができる。私は銀行員として、そう判断しました。
湯浅社長:少し考えさせてください。
半沢:もちろんです。ですが、あさってが、最後の金融庁検査です。それまでに答えを出してください。
湯浅社長:100年以上続いたこのホテルの命運をたった一日ちょっとで決めなければならないのか。
半沢:申し訳ございません。