王子さまの行き着いた先は、薔薇の花が咲き揃った庭園だった。
「こんにちは。」
「こんにちは。」
王子さまは薔薇たちを凝視した。どれも王子さまの花にそっくりだった。
「君たちは誰なの?」
「私たちは薔薇よ。」
「そんな!」
王子さまはとても悲しい気持ちになった。王子さまの花は、自分は宇宙でたった1つだけの存在と語っていた。それなのに、この庭園だけで同じ花が5000本もあるなんて。
あの花がこれを見たら、ひどく傷つくだろうな。笑いものにならないように激しく咳をして、死んだふりをするかも。そして僕は花を介抱するふりをしなきゃいけなくなるんだ。