吾輩は猫である20

吾輩は猫である20

2021-10-20    02'26''

主播: 丹青猫

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介绍:
「しばらくご無沙汰をしました。実は去年の暮から大いに活動しているものですから、出よう出ようと思っても?ついこの方角へ足が向かないので」と羽織の紐をひねくれながら謎見たようなことを言う。「どっちの方角へ足が向くかね」と主人は真面目な顔をして、黒木綿の紋付羽織の袖口を引っ張る。この羽織は木綿でゆきが短い、下からベンベラものが左右5分くらい ずつはみ出している。「エへへへ少し違った方角で」と寒月君が笑う。見ると今日は前歯が1枚欠けている。「君は歯どうかしたかね」と主人は問題を転じた。「ええ実はあるところで椎茸を食いましてね」「何を食ったって」「その少し椎茸を食ったんて。椎茸の傘を前歯で噛み切ろうとしたらぼろりと歯がかけましたよ」「椎茸で前歯がかけるなんざ、なんだか爺い臭いね。俳句にはなるかもしれないが、恋にはならんようだな」と平手で吾輩の頭を軽く叩く。