Track 05 持续的思念
「今日はさ、お前に相談があるんだ。いいかぁ?絶対に笑うなよ!真面目な話なんだけど…俺さ、恋しちゃったかも…」
俺は学生時代から一緒に万葉集の研究をしてきた友達に思い切って相談してみた。
「あっ、お前!いま笑ったろう!?俺が真面目に話してるのに!」
俺が怒ると、友人はようやく真剣に聞く気になったようだ。
「え?どうやって出逢ったかって?仕事帰りに、コンビニまで歩いてたんだよ…その時、女の人にぶつかって、突き飛ばしちゃって…手を貸した時にその人の顔見たら、なぜか目が離せなくなったんだ。って、ニヤニヤしながらこっちを見るな!恥ずかしいだろ!」
予想していたよりも、親身になって話を聞いてくれる友人に俺は思わず赤面してしまった。普段からあまり感情を表に出さない俺が、恋の話をするなんて…よっぽど珍しかったに違いない。
「お前じゃなきゃ絶対こんな話できないからなぁ…周りの奴らにも絶対言うなよ!」
『今のみの行事にはあらず古の人ぞまさりて哭にさへ泣きし』
恋に苦しんでいるのは貴方だけじゃない。
友人はわざとらしく声高らかに万葉集の一句を読み上げた。
「えーと、たしか昔の人も恋をして何度も涙を流してるって意味だよな?まあ俺は泣いてなんかないよ!俺はなぁ…彼女を見かけるだけでいいんだ。俺の気持ちが彼女に伝われなくてもいい…って、恥ずかしいこと言わせるな!」
“今天啊,想找你谈个事。听好了,绝对不准笑哦。我是认真的……我啊,好像恋爱了……”
我决定找学生时代一起研究《万叶集》的友人商量。
“啊!你刚才笑了吧!我这么严肃,你却……”
看我怒目而视,那位朋友总算愿意认真倾听我的诉说了。
“嗯?怎么遇到的?下班回家,我步行到便利店时,撞到一个女孩,撞得很远。扶她起来时,看到她的脸,目光不自觉地被吸引了。喂,不要笑嘻嘻地盯着我,不好意思啊!”
我不禁有几分感动,因为朋友体贴地倾听着我的诉说。他一定也觉得稀罕,平时感情不甚外露的我怎么会突然谈起自己的恋爱。
“如果不是你的话,我是绝对不说的,所以绝不要跟其他人说哦!”
『今人如此恋,不孤;古人更甚,放声而哭。』
——为情所困的,不止你一人。
朋友特意高声诵读了《万叶集》中的一首和歌。
“我说,这句是说古人也常常为情流泪罢。我可没哭!我啊,只要能看见她就好,就算她不知道我的心意也没关系……不要再让我说那么肉麻的话啦!”