「じゃあ、どうする?」幸平が訊いた。
「那怎么办?」幸平问。
「決まってるだろ」敦也は立ち上がった。「あの家に戻ろう。盗んだものを返すんだ」
「那还用问吗?」敦也站了起来,「回去她家,归还偷的东西。」
「手足をほどいてやらないと」翔太がいう。「目隠しも。口のガムテープも」
「要帮她松绑,」翔太说,「还有绑住她眼睛的毛巾和嘴上的胶带。」
「そうだな」
「是啊。」
「その後は?逃げるのか」
「之后呢?要逃吗?」
幸平の問いに、敦也は首を振った。「逃げない。警察が来るのを待つ」
幸平问,敦也摇摇头,「不用逃,等警察来。」
翔太も幸平も反論はしなかった。幸平が、「刑務所かあ」と肩を落としただけだ。
翔太和幸平都没有反驳,幸平垂头丧气地说:「要去监狱喔。」
「自首するんだから、執行猶予ぐらいはつけてもらえるよ」そういってから翔太は敦也のほうを向いた。「問題は、その後だな。ますます働き口がなくなるぜ。どうする?」
「我们自首的话,应该可以判缓刑,」翔太说完,看着敦也说:「问题是之后,恐怕会更难找工作了。」
敦也は首を振った。
敦也摇了摇头。
「わからねえ。だけど、一つだけ決めた。もう人様のものには手を出さない」
「不知道,但我决定以后不再偷东西了。」
翔太と幸平は黙って頷いた。
翔太和幸平默默点头。
荷物をまとめ、裏口から外に出た。太陽の日差しがまぶしかった。どこかでスズメが鳴いている。
收拾好东西后,他们从后门走了出去。阳光很刺眼,远处传来麻雀的叫声。
敦也は牛乳箱に目を留めた。一晩で、この箱を何回開け閉めしただろうか。もう触れることはないと思うと、少し寂しくもある。
敦也的目光停在牛奶箱上。今天一整晚,这个箱子不知道开了多少次,又关了多少次。想到以后再也摸不到了,不禁有点难过。
最後にもう一度だけ開けてみた。すると中に一通の封筒が入っていた。
他最后一次打开信箱,发现里面有一封信。
翔太と幸平は先に歩きかけている。おい、と二人に声をかけた。「こんなものが入ってたぞ」封筒を見せた。
翔太和幸平已经先走了。「喂」他叫住另外两个人。「里面有这么个东西」并把信封拿给他们看。
封筒の表には万年筆で、名無しの権兵衛さんへ、とあった。かなりの達筆だ。
信封上用钢笔写着「无名氏收」。字迹很漂亮。
封を開け、中から便箋を引っ張り出した。
打开信封,从里面拿出了信纸。
『これは白紙の便箋をくださった方への回答です。お心当たりのない方は、どうか元の場所に戻しておいてください。』
这是针对给我空白信纸的人的回答,如果不是当事人,请把信放回原处。
敦也は息を呑んだ。たしかに先程、何も書いていない便箋を郵便口から投入した。この手紙はあれに対する回答なのだ。書いたのは本物のナミヤの爺さんということになる。
敦也倒吸了一口气。的确,他刚才把空白的信纸塞进了投递口。这是针对他的空白信写的回答,写信的应该是那个叫浪矢的老人本尊。
文面は次のように続いていた。
信的内容如下。