◆著者プロフィール
船瀬俊介さん 1950年福岡県生まれ
食品・医療・環境問題に取り組むジャーナリスト・評論家。
ベストセラーになった著書が多数あり、以前にご紹介した『できる男は超少食』の著者さんでもあります。
こんにちは、ブックナビゲーターの矢島雅弘です。
前に紹介した『できる男は超少食』も衝撃的なタイトルだったのですが、今回の新刊のタイトルもなかなかですね。
表紙や帯には
「会議中でも、電車の中でも即、筋トレ!」
「できる男は超少食×筋トレ」
「挫折しない!力こぶから始める0円、マッスル増強法」
などのキャッチコピーが!
【本書概要】
さて、気になる中身ですが、メインの主張としては「筋トレをしよう」「筋肉をつけよう」という事を述べられています。
その理由がとても壮大なものなのです。
普通、「筋トレをしましょう」という主張は、「運動不足解消のため」か「健康のため」あるいは「美容のため」という理由が多いですが、本書で船瀬さんが「筋トレをしよう」という、その理由は……
運動不足解消・健康・美容 に加えて、脳を最高の状態にするため。
これも含まれます!
後ほど詳しく説明しますが、筋トレは脳に効くのだそうです。
具体的には、ストレスに強くなる、記憶力や判断力が高まる、解決力がつく、難関を突破できる。
こういった効能があると、船瀬さんは主張しています。
つまり、ざっくり言うと、肉体的に強くなるだけでなく、精神的にも強くなれる。
すると、仕事も上手くいき、寿命も延びる。
即ち、この先行きの不安な社会で、生き残るために必要なものが手に入る。
だから筋トレをしよう!
という本なんですね。
タイトルの「生き残る男は細マッチョ」にはそういう意味が含まれているようです。
【貯筋というユニークな主張】
そして本書の冒頭で、僕が気に入った言葉が一つあります。
それは「貯筋」という言葉。
将来のために「お金を貯める」と書いて「貯金」とは、よく言いますが、船瀬さんは、将来のために「筋肉を貯めておこう」と言うのです。
「筋肉は人生最大の蓄えである」という金言も出てきます。
では、なぜ筋肉が大事なのか?その理由を詳しくご紹介していきましょう。
まずは一般的なところから。
運動不足解消や健康について、適度に筋肉をつける行為、及びその肉体が、運動不足解消や健康に役立つのは言うまでもありませんね。
ではそれが、将来にどう役立つか?
一例を挙げますと……
「筋肉は家計を助ける」
そう、健康であれば、医療費がかかりません。
人間は高齢になると、糖尿病、心臓病、脳卒中に認知症……等々、いわゆる生活習慣病にかかりやすくなります。
その時、鍛えた細マッチョ体型であるか、メタボな肥満体型であるか、どちらの方が、大きな病気にかかりにくいと思いますか?
そう、細マッチョ体型の方ですね。
ですので、「筋肉を貯める」ことは「お金を貯める」ことにもつながるのです。
【筋肉ホルモン(マイオカイン)】
また筋トレが健康につながる医学的な説明として、「筋肉ホルモン(マイオカイン)」のお話が出てきます。
久留米大学医学部の川口医師によると、「筋肉はホルモンを分泌する内分泌臓器であることがわかってきた」とのこと。
これは一種の代謝ホルモンで、様々な生理効果が確認されていると言います。
これこそが、マイオカインなのです。
マイオカインの分泌量は「筋肉量」×「運動時間」で決まると言われ、筋肉量をつけるほど、分泌量も増えるとのこと。
効果としては「老化防止」「成長ホルモン刺激」「骨密度増強」「動脈硬化抑制」「糖尿病予防」「脂肪肝改善」「高血圧改善」「認知症防止」などが報告されているそうです。
こういった効果から、マイオカインは別名、若返りホルモンとも呼ばれています。
また、筋肉をつけるということは、身体運動を伴いますが、この身体運動についても、別の研究機関から、「がん」「糖尿病」「心臓病」「うつ病」「不安症」「脳卒中」「アルツハイマー」「動脈硬化症」などの予防・抑制・治療効果が確認されています。
ようするに、筋肉をつけるという行為は、思った以上の恩恵があるということなのですね。
【筋トレが脳に効く?】
さらに、先ほども述べましたが、船瀬さんは「筋トレは脳にも効く」と主張されています。
その根拠としては、先ほどの筋肉ホルモンに加えて、血流の効果。
運動をすれば、血流がよくなり、脳に血液が回り、それが脳の成長を促進する、という仕組みなんですね。
これは僕も、他の本などで、運動が脳に良いことや、血流が良くなれば頭が冴えると読んだことがありますし、皆さんの中にも運動が脳に良いと実感している人がいらっしゃるのではないでしょうか?
なお、詳しい説明や、学説等については、本書をご覧下さい。
【オススメの筋トレ方法】
さて、では実際に筋肉をつけるにはどのような運動をすれば良いのか?
本書には色々な方法が記載されていますが、特に船瀬さんが主張しているのが「アイソメトリクス」という方法です。
前著の『できる男は超少食』でも「静的筋トレ」として薦められていましたね。
この筋肉強化方法は、「筋肉は、その最大負荷量の80パーセント以上の負荷をかけると、急速に発達していく」という生理学理論に基づいているそうです。
今回のラジオでは、いつでも、どこでも、だれでも、0円でできる!
5つのアイソメトリクスのポーズをご紹介しましょう。
【1.勝者のポーズ】
最初に紹介するのは、この5つのポーズの基本形。
忙しい方でもこれだけはやってほしいという「勝者のポーズ」です。
やり方は……
自分がリング上で、勝者になった気分で、胸を張って、両腕の力こぶに思い切り力を入れる。
すると、両腕がブルブル震えてきて、力を入れるほど、胸筋、肩の筋肉、背筋、腹筋まで力が入っていることを実感するでしょう。
これだけ!
たしかに、いつでも、どこでも、だれでも出来る方法ですね。
【2.合掌のポーズ】
続いてはこちら、合掌のポーズ。
やり方は……
両手のひらを体の前で合わせて、両側から思いっきり、押します。
胸筋や肩の筋肉が盛り上がってくるのを感じるでしょう。
そこに意識を集中して、5秒以上頑張る。
この意識を集中するというのが、筋トレの要諦でもあります。
【3.重ねのポーズ】
続いて、重ねのポーズ。
やり方は……
一方の手のひらを上に向け、もう一方は下に向けて、上下に思い切り押し合う。
力こぶはもちろん、腕全体の筋肉から、肩、胸、背中の筋肉までが発達します。
5秒以上ポーズをとったら、上下左右を入れ替えて、また行いましょう。
【4.鉤のポーズ】
4つ目は鉤のポーズ。
やり方は……
手の指先同士を鉤状にして、左右に思い切り引っぱります。
これも手の上下を入れ替えて、交替しながら行いましょう。
【5.交差のポーズ】
最後は、交差のポーズ。
やり方は……
手ぬぐい1本を用意し、背中をこすり洗いするように手ぬぐいを持ち、上下に思い切り引っぱります。
以上、アイソメトリクス、5つのポーズのご紹介でした。
すごく簡単そうですよね!?
ですが、実際にやってみると想像以上に筋肉を使いますよ!
ぜひ、今すぐやってみて下さい!
【まとめ】
では、まとめに入りたいと思います。
本書は若者男性向けの書籍と思いきや、実は高齢の方に向けての内容も多くあります。
今回は割愛してしまいましたが、高齢ボディビルダーの話などは、何歳になっても筋肉は鍛えられ、またそれが健康に役立つことがよく分かる実例です。
さらに女性の筋トレ効果の実例も載っているので、老若男女すべてに役立つ本といえるでしょう。
文章こそ、情熱的で力強い感じの一冊ですが、提案されているトレーニング方法は、費用もかからず、簡単にできるものばかり。
まずは、美容目的や運動不足解消などの軽い気持ちで、本書を読んでみて、徐々に、筋トレの有用性を読み込んでいってみてはいかがでしょうか?