【怪談】人形の館

【怪談】人形の館

2016-08-11    04'16''

主播: 日语 广播剧和童话?

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介绍:
台词:Tome館長 朗诵:かぁな@ 正文: 森の奥で迷子になった。 すぐに夜の闇に囲まれてしまった。 森には魔物が棲むという。 一緒だった弟ともはぐれてしまい、 ひとりでは心細かった。 きっと弟も迷っているはず。 もう魔物に食べられたかもしれない。 怖かった。 立ち止まるのが怖かった。 やがて、闇の向こうに明かりが見えた。 人家の窓だ。 すごく嬉しかった。 それは大きくて立派な館だった。 玄関らしき扉を見つけた。 おそるおそるノックしてみた。 いかめしい音を響かせて扉が開いた。 驚いてしまった。 現れたのは弟だったのだ。 「兄さん。待っていたんだよ」 弟に案内されて館の中に入った。 それは異様な光景だった。 赤い廊下が遠くまでのびている。 床に敷かれた細長い血の色の絨毯。 その廊下に人形がずらりと並ぶ。 どれもこれもよくできていた。 まるで生きているように見えた。 「兄さん。人形を数えてみてよ」 弟が笑った。 ちょっと怖かった。 たぶん、廊下の灯りが少ないからだろう。 人形を数えながら廊下を進む。 「一、二、三、四、・・・・」 うしろから弟がついてくる。 「・・・・、二十五、二十六、二十七、・・・・」 本当に生きてるような人形たち。 「・・・・、五十八、五十九、六十、・・・・」 まだまだ続く暗い廊下。 「・・・・、七十七、七十八、七十九、・・・・」 ようやく人形の列が切れた。 「・・・・、九十九! 人形が九十九もある」 背後から弟が肩をたたいた。 「違うよ、兄さん。人形の数は百だよ」 弟が笑った。 やっぱり怖かった。 弟は床の赤い絨毯を指さした。 最後の人形のすぐ隣。 それから、その位置に弟は立った。 そして、笑った。 「ほらね、兄さん。ちょうど百」   ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 館(やかた) 迷子(まいご) 闇(やみ) 囲(かこ)ま  魔物(まもの) 棲(す)む 一緒(いっしょ)  心細(こころぼそ)か 迷(まよ)っ 怖(こわ)か 嬉(うれ)し  立派(りっぱ) 扉(とびら) 響(ひび)か 驚(おどろ)い  異様(いよう) 光景(こうけい) 廊下(ろうか) 床(ゆか)  敷(し)か 絨毯(じゅうたん) 並(なら)ぶ 数(かぞ)え  灯(あか)り 列(れつ) 背後(はいご) 隣(となり)
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