宮園かをりの手紙 その3
後悔を天国に持ち込まないため、
好き勝手やったりしました。
怖かったコンタクトレンズ、
体重を気にして できなかった、ケーキホール食(く)い。
偉そうに指図(さしず)する譜面(ふめん)も、私らしく弾いてあげた。
そして、一つだけ嘘をつきました。
宮園かをりが、渡亮太くんを好き、という嘘をつきました。
その嘘は、私の前に、有馬公生くん、君を連れて きて くれました。
渡(わたり)君に謝っておいて。
まぁ、でも、渡君なら、すぐ私のことなんか忘れちゃうかな。
友達としては面白いけど、やっばり私は、一途(いちず)の人がいいな。
あと、椿ちゃんにも謝っといてください。
私は通(とお)り過ぎて いなくなる人間。
変な祸根(かこん)を残したくなかったので、椿じゃんにはお願いできませんでした。
というか、有馬くんを紹介してなんでストレートに頼んでも。
椿じゃんはいい返事をくれなかったと思うな。
だって椿じゃんは、君のこと大好きだったから。
みんなとっくに知ってるんだから、知らなかったのは君と、椿じゃんだけ。