宮園かをりの手紙 その4
私の姑息(こそく)の嘘がつれてきた君は、想像と違ってました。
思ってたより暗くて卑屈(ひくつ)て、
いこじで しつこくて とうさつ魔。
思ってたより声が低くて、
思ってたより男らしい。
思ってた通り 優しい人でした。
度胸(どきょう)橋(ばし)から飛び込んだ河は、冷たくて気持ちよかったね。
音楽室を覗くまん丸の月は、お饅頭みたいでおいしいそうだった。
競争した電車には、本気で勝てると思った。
輝く星の下で、二人で歌ったキラキラ星、楽しかったね。
夜の学校って、絶対何があるよね。
雪って、桜の花びらに似てるよね。
演奏家なのに舞台の外のことで 心がいっばいなのは、なんかおかしいね。