子どもを叱り続ける人が知らない「3大原則」
東洋経済オンライン 1/19(木) 6:00配信
子どもを叱り続ける人が知らない「3大原則」
【質問】
小4の男の子、年長の男の子がいる母親です。小4の息子にイライラして、嫌みばかり言ってしまいます。何をするにも行動が遅く、良い言葉で言えばマイペース。悪く見れば周りが見えていない。私が話せば、言い返すばかり。
勉強するように言っても、何をやればいいの? どこをやればいいの? から始まり、わからなければそのまま放置、間違っていても放置です。塾で聞いてみたらと言っても、どうせ俺なんかやってもわからん、やるだけ無駄だしなどと言います。
私なりに始めは優しく話しかけているつもりですが、あまりに言うことを聞かないので、どんどん私も嫌な言い方になってしまいます。今後、どうしたらよいでしょうか。
(仮名:岡田さん)
■子どもの行動や欠点が気になってしまう
【石田先生の回答】
イライラの毎日が続いているのですね。日々一緒に生活していて、何とかしっかりとした子どもに育てようとすればするほど、うまくいかず、子どもの行動や欠点などが、気になるということはよくありますよね。
このようなことは、岡田さんの家庭だけではなく、どこの家庭でも、程度の差こそあれ、同じようなことがあります。できれば、イライラもあまりなく、日々明るい前向きな家庭であったほうがよいに決まっていますが、なかなかそうはいかないのが現実です。
私事ですが、日々、私は講演などたくさんの教育活動を行っています。「この日本から勉強嫌いの子をなくし、明るい家庭をたくさんつくりたい」という志をもって活動しています。この連載記事を書いたり、1年前に始めた「ママカフェ」という勉強会を開催したり、「子ども手帳」という手帳を考案したりも、その一環としての活動です。それだけ、岡田さんのようなご家庭が多いのですね。ですから私は、さまざまな場面で次のようなお話をよくしています。
親子でもパーソナリティや価値観は違う
各家庭には文化があり、またその家族の中でも一人ひとりのパーソナリティはみな異なります。家族は多様であるため「こうしたらうまくいくよ」という方法が、山田さんの家庭には通じても、木村さんの家庭には通用しないということが起こります。では、自分で感覚的にやればいいかというと、うまくいくときもあれば、いかないときもあります。要するに家庭は多種多様な世界で、方法論を求めても、うまくいかないことのほうが多いのが現状です。
ところが、ある程度全体に共通することがあるのも事実です。それを「原則」といいますが、原則は本質的ではあるのですが、あまりにもシンプルであるため、日々の喧噪の中で忘れ去られ、実行できずに終わってしまうことが少なくありません。
■子どもが自主的に行動する家庭づくり
そこで、子どもが自主的に行動する家庭づくりに関する「3つの原則」のお話をしたいと思います。岡田さんが現在直面している悩み解消のお役に立てるかもしれません。
第1原則:自分とまったく同じ価値観の人はいないことを知る
まず、親子は、顔は似ていても、パーソナリティや価値観がまったく同じであることはないということを認識する必要があります。家庭では多くの場合、親の価値観でもって子どもに対応しますが、子どもも独立したひとつの人格であって、親とは別の価値観があります。その不一致によって、軋轢が起こるということです。親子でぶつかる原因のほとんどは、このケースだと考えています。
それには、親が子どものよい点を見て、認めるという行動を起こす以外、解決策はないというのが私の考えです。親の考えが正しいと思って、子どもにわかってほしい、変わってほしいと言い続けたとしても、親子の価値観は違うままですから、それに納得してもらうのは無理な話です。
第2原則:強制されたことは、やらないか、やったとしても面従腹背となる
強制されたことに対しては、人は反発することは当然だということを知ることです。面従腹背という言葉があります。表面的に従っているように見えても、本心では従っていないということです。ここは注意深く見なければなりません。また、親がやれということを仮にやるとしても、「言われたことはやる人間」にはなっても、自主的な人間にはなれません。
生活習慣や道徳、倫理的問題については、「こうしなさい」と言うことはある程度必要ですが、基本的には、“やりたくなるような環境をつくる”ということのほうが、結果を考えても望ましいのです。
そのためにはどうするか?
そのためにはどうするかといえば、ひとつの方法として「親が日々楽しんで生活している姿を見せる」ことが挙げられます。どのような事実、実態でも、見方はひとつではありませんね。プラスもあれば、マイナスもあるでしょう。それを理解したうえで、親が何でも楽しんでやろう! 、プラス方面から楽しもうと、自分に思い込ませるのです。
そうすると、子どもは、その雰囲気にいつしか包まれ、活動することを楽しむようになっていくでしょう。その延長線上に、勉強などのやるべき事柄の活動があります。「子どもは、親の言うことはやらないが、親がやることを真似する」ということを忘れてはいけません。
第3原則:人間には最低3つの長所がある
子どもは、必ず最低3つは長所を持って生まれていると私は考えています(この3つに根拠はなく、ただの目安ですが、そのくらいは誰にでもあるはずです)。
その長所の中に、将来の仕事やライフワークの種があります。小学生の頃にはまだ見えないかもしれませんが、必ずあります。その種を見つけて、水をやり、太陽を注ぐと成長します。水とは、食事です。おいしくて健康的な食事です。そして太陽にあたるのは親の笑顔です。
子どもから遠ざかった3つのことをご存じでしょうか。それは「自然」「家族が働く姿」そして3つ目が「家庭の笑顔」といわれています。笑顔は、子どもに安心感と希望を与えることにもなります。
■親が考え方を変える以外にない
さて、このようにお話をしてきて、やはり親である岡田さんの考え方が変わらなければならないという結論なのですが、もしかしたら、「すべて自分が悪いのだ」と自分を責めてしまうことにもなりかねませんね。重圧もかかるかもしれません。それだけ母親は本当に大変です。食事を作り、子育てし、さらには社会で働きながらの場合もあります。これだけたくさんのことを日々こなし、子どもが反抗的であったり、言うことを聞かなかったりしたら、イライラするのは当然のことだと思います。
しかし、現状を変えるには、親が考え方を変える以外にないのです。それも、今までのことは水に流すか、今後の肥やしとして処理し、今後どうすれば楽しくなるか、面白くなるかをつねに考えることに意識を向けます。
それでもうまくいかないことがあります。1人になるとマイナス方向へと思考がすぐに戻ってしまう場合は、ほかの親御さんたちとの交流を広げたり、ポジティブな人たちと積極的に交わるようにされるとよいでしょう。よい雰囲気に自分も感化されていくことでしょう。