日本の昔话 2——アワの長者

日本の昔话 2——アワの長者

2016-02-25    06'16''

主播: Jennykaede

204 11

介绍:
アワの長者 むかしむかし、ずーっとむかしのむかし話だよ。  ある村に、働き者じゃが、貧しい暮らしをしている男がおりました。 「ああーっ、腹へったなー。腹いっぱい飯食ってみてえなあ~」  いつも腹をすかせている男の見る夢は、食べる夢ばっかりだった。  ある晩のこと、男は真に不思議な夢を見た。  荒地の果てからやってきた、白い一頭の馬。  馬は光に包まれ、まぶしいほどの白さじゃった。  馬は、ずっしりとよく実った金色のアワの穂を、美味しそうに食べている。  じっと見つめていると、白い馬は急に首を振った。  口元からポーイと飛んだアワの穂は、空中でクルクルと舞ってキラキラ金色に輝きながら、男の前に落ちてきた。 「あっ、夢か、夢! 何という夢じゃ。金のアワ。それに神々しい白い馬、神さまが現れたあの荒地は」  夢から醒めた男は、あの白い馬が立っていた荒地は、自分が一度行ったことのある場所だと気付いた。  朝が来るのを待ってさっそく出かけ、見覚えのある、その荒地にたどり着いた。 「ここだ、間違いない。夢の場所とおなじだ。・・・あっ!」  驚いたことに、荒地の果てからアワの穂をくわえた夢で見た白い馬が、男に向かって歩いてきた。  そしてくわえていた、その金のアワの穂を男に渡した。 「ああ、ありがたい。きっとこれは、この荒地を耕して、アワをうえなさいという、神さまのお告げにちがいない」  男はそう信じて、そこの荒地を耕しはじめた。  春を待って、種をまき。  夏、照りつけるお日様。  畑に這いつくばって、せっせと草を取った。  秋になると、男の植えたアワの穂は重く実り、あたり一面金色に輝いて波打った。 大豊作だ。  それを売りさばいた男は、たちまち大金持ちとなって「アワの長者」と呼ばれた。  それから何年か経ったある年。  村はまた、ひどい飢饉にみまわれた。  これまでにない厳しい寒波が襲って、子供たちは腹を空かして寒さにおびえ、泣きわめいた。  村の者は集まって、相談した。 「アワの長者さまに、おねがいしてみるか」 「そうだそうだ、あそこの蔵には、山ほどアワでもなんでも仕舞い込んである。むかしはわしらと同じ貧乏だった長者さまだ。助けてくれるに違いない。」  そう話がまとまると、皆して長者さまのお屋敷に詰め掛けた。  散々頭下げてお願いすると、それまで黙って聞いていた長者さまは一言大声を出した。 「うるさい! 聞きとうない! アワは一粒もない! 無断で蔵を開けたら、アワが無くて泡食うぞ! わかったか! さっさと出て行け!」  皆が帰った、その夜のこと。 「こら、人の屋敷の土壁に何ということをする!」  村の衆は、壁から、床下から、所かまわず、隠し込んだアワをガリガリこさぎだした。  長者は、村の衆がやることは高がしれてるとたかくくって眠り込んだ。  カリカリカリ、カリカリカリ  音は、蔵から聞こえてきた。 「なんじゃ、なんじゃ、村の盗人だな!」 「あわわわわああ!」  長者は気を失って、へたり込んでしまった。  カリカリカリ、カリカリカリ  忙しくアワを食べていた何万匹ものネズミたちが、急に静かになったと思うと、いきなり、どっーと音を立てて、  蔵も御殿のようなお屋敷も、もろとも崩れ落ちた。  立ち上る土煙が収まると、廃墟となった広場に何万というネズミたちが、ひとかたまりに集まった。  そうして光に包まれ、金色のアワの穂をくわえた白い馬が姿を現した。  やがて白い馬は、前足をそろえ、蹴るように高く上げると、ゆっくりと空へ駆けのぼっていった。 「ああっ、あの白い馬、夢の中の神さまの馬だ。」  人の苦しみをかえりみなかった長者は、全てをなくして、やっと自分の愚かさに気付いた。 「泡食った長者」は改心して、皆と残ったアワを分けあった。  それからというもの男は、村の皆とせっせと荒地を耕し、助け合って仲良く暮らしたんだと。  めでたし、めでたし。 おしまい
客服