桜前線
少女に冬がやってきました。
降る雪の温度はとても冷たくて一つ一つはまだ軽いそれは積もり少女を埋もれさせていきます。
寒さに消えてく感覚の中少女には一つだけ希望がありました。
あの人がくれた桜の種 少女はその種をずっと大事に持っていました。
雪解けの水を少しづつ桜の種に注ぐ。
少しずつ垂れていく冷たい、冷たい水
少女にやっと春が訪れた時、しかしその桜の種が芽吹くことはありませんでした。
傍から見れば幸せに見えたその少女にとって
その桜がない春は秋のように感じました。
「どこで間違えたのかな」そんなことを思いながら少女は静かになっていきます。
少女の周りにはまだ蕾の桜がたくさん植わっています。
今年の桜前線は少し北寄りになるようです。