笹田 中学の時、地区のイベントでここで肝試しにさんが下の。私、泣いたり、校内中走り回ったりして、家に帰ってから、大事なものを無くしたことに気づいたの。慌てて学校にひとりで探しに戻ったんだけど、すごく怖くて、心細くて、でも全然見つからなくて。その時…
時雨 さっきから何をしている?
笹田 お、お守りを、落としちゃって…とても大事な物なんです...
時雨 さっさと探して、とっとと帰れ
笹田 その後も、しばらく諦めずに探し続けたんだけど、全然見つからなかった。それで、途方に暮れていた時に...
時雨 おい、これか?
笹田 そう、これ...よかった、危なく諦めたの...これ、お母さんの形見で...でも、その棒切れは何?
時雨 私のように不浄な物、清いものには触れられん。もういいだろう、さっさと帰れ
笹田 不浄?それってなんのこ...と...?あの言葉使いとか、雰囲気とか、あの人ひょっとして、お化けなんかじゃないかって思って、それでいろいろ調べて、あの若神様の逸話を知ったの、不浄が汚れてるって意味名でこともわかった...それから毎日ここに通ったわ、きちんとお礼が言いたいから、出てきてって、あなたは不浄じゃないって、伝えたがったの。でも、結局姿を見せてくれなくて...だから、夏目くんにそういうものが見えるなら、手伝って欲しいと思ったの、ここも取り壊されるし、最後のチャンスだと思って。ごめんね、さっきあんな言い方しちゃって。
夏目 いいんだ
笹田 夏目くん、本当に見えないの?
夏目 ああ...
笹田 そう?