课文原文
人生の転機
「課長昇進の話はなかったことにする」と部長に告げられたのは三か月前だった。自分では精一杯頑張ったつもりだったが、プロジェクトに失敗し、大きな損害を出したのが原因だ。出社しても、毎日がつらくてならなかった。できるものなら、違う世界へ行ってしまいたいと思いながら、日々を過ごしていた。
蒸し暑いある晩、俺は散歩していた。住宅もほとんどない真っ暗な道を歩いていると、向こうの一軒家の二階の窓に明かりが見えた。
「あれ?確かあそこは空家のはずだ」不審に思いつつ近づいていくと、突然「キャー」という若い女性の悲鳴が聞こえた。そして男女の争う声。「やめて!」「うるさい!黙れ!」
もしかして、事件か。こんな時に限って携帯をうちにおいてきてしまった。行こうか行くまいか迷った末、俺はその家に近づいていった。そしてその家のドアの前まで来たとき、「あのカバンはどこだ!言え!」という低い男の声。そして「助けて!」という女性の声ーー。
たとえどんな事情があっても、男2人で女性に暴力を振るうなんて許しがたい奴らだ。絶対助け出す。俺は勇気を出して、二階へ続く階段を上った。
突き当りの部屋のドアから光が漏れている。俺はドアを思い切り開けて部屋に飛び込んだ。そして叫んだ。「やめろ!やめるんだ!」俺は入口にいた男が止めるのもかまわず彼女の横にいた男の腹にパンチを入れた。
「カット」
眩しい光の中で「誰だ、お前は⁉」と低い声の男が俺に問いかけた。その横でカメラを持った男が驚いた顔で俺を見ていた。「あれ?これって、映画?」恥ずかしさのあまり、逃げ出したくなった俺に、低い声の男が聞いた。「今の、もう一回できるか?」
俺は戸惑いながら、言われた通りになぐった。「違う!もっと気持ちを込めてやってみろ!そうだ、いいぞ」
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あれから、半年。俺は会社を辞めて、今は自主製作映画の主役だ。主役と言っても荷物運びもすれば切符も売る。生活は大変だが、俺はこの出会いに心から、ありがとうと言いたい。何があってもあきらめないでやりぬくぞ。
単語
昇進(しょうしん)
告げる(つげる):告知,知会;天启,神谕。
損害(そんがい)
出社(しゅっしゃ)
過ごす(すごし)
蒸し暑い(むしあつい)
住宅(じゅうたく)
一軒家(いっけんや)
明かり(あかり)
空家(あきや)
不審(ふしん):可疑,疑问,不清楚。
悲鳴(ひめい)
男女(だんじょ)
争う(あらそう)
許す(ゆるす):允许,许可;原谅,饶恕;
突き当り(つきあたり):路的尽头
思い切り:断念,死心;决心,决意。
問いかける(といかける):问,打听;开始问;
戸惑い(とまどい):徘徊,不知所措,困惑;
諦める(あきらめる):死心,断念,想开。