俊宏:ねえ、お母さん、ちょっと話があるんだけど。
母親:何、俊宏。急に改まって。また、何か買ってじゃないの?
俊宏:違うよ。ま、半分当ってるかもしんないけど。あのさ、俺、ギターほしいんだ。で、アルバイトしたいだけど、いいかなって。
母親:アルバイト?
俊宏:うん。
母親:だめだめ。来年、受験でしょ。何ばかのこと、言ってんの。
俊宏:じゃ、ギター買ってくれるの?
母親:だめに決まってるでしょ。お父さんもだめって言うはずよ。ギターより、勉強に身を入れなさい。
俊宏:じゃ、もういいよ。お父さんに聞いてみようっと。
―――――
俊宏:ねえ、お父さん、ちょっと。
父親:ん?
俊宏:俺さあ、ギターほしいんだけど。でさあ、アルバイトしようかなって思ってんだけど、させてくれるよね?
父親:おお、アルバイトかあ。
俊宏:うん。
父親:ギターねえ、じゃ、後でお母さんともいっしょに話してみるか。
俊宏:もう聞いたけど、だめだって。
父親:そうか。
俊宏:ねえ、ちゃんと勉強するって約束すっからさあ。バイト、週一日だけでもいいから、してもいいよね。
父親:ううん。まあ、勉強もちゃんとするんなら、お父さんはしてもいいような気もするけど。
俊宏:だよね。いいよね。
父親:でも、こういうことは、やっぱりみんなで話さないとな。じゃ、あれだ、晩ご飯の時に、もう一回、みんなで話そうか。
俊宏:うん。わかったよ。