对照着文稿和saori 一起读美文吧!「生きものなら、お天気しだいで風になぎ倒されたり、枯れそうになったり、立ち直ったり、それぞれ形や味が違っていたりするはずだ。」
スーパーマーケットに並ぶ野菜や果物は、みごとに形がそろっています。これを見てびっくりする外国人も多いと聞きます。
考えてみれば、たしかに不自然なことですね。同じ大きさの、ぴかぴかの作物(さくもつ)が並んでいる様子は、まるで工業製品のようです。
普通に作れば、ひとつひとつ大きさも形も違って当たり前。昔は、そんな不揃い(ふぞろい)の作物を、はかり売りをしたり、ざるに盛ったりして売っていたと思います。
それが、いつしか同じ形に慣れてしまった私たち。違うものを見ると不良品のように思えてしまうのです。
離婚や家庭の問題に焦点をあてて、作品を書き続けた干刈(ひかりやがた)は言います。
“それが、子供を見る眼、子供に対する接し方にさえ及んでいるような気がする”
たしかに、そういえるかもしれません。みんなと同じでないと、どうしても、心配してしまうのではないでしょうか。
土の香りがする作物は、本物の味がします。人間も、規格にはめようとすれば、本来の心を失ってしまうようです。
そのときのお天気しだいで、みんな違う味が出る……。違うということが生きている証拠なのだともいえるのですね。