半沢直樹18
渡真:おい、生きてるかい?
近藤:どうせ、何も食べてないだろう?
渡真:はい、牛丼です。
近藤:明日までに120億か。厳しいな。
半沢:悪いな、付き合わせて。
近藤:もし120億の余剰資産見つけたら、牛丼おごれよ。
半沢:1年分、おごってやる。
渡真:しかし、伊勢島も伊勢島だが、まさか近藤の会社も粉飾してるとはな。どっかにまともな会社ってのはないもんですかね。
半沢:これからどうするつもりか、近藤。
近藤:とにかく、全部正直に銀行に話すよ。そのうえで、何とか融資を継続してもらえるように頭を下げるしかない。
渡真:それ、田宮社長納得してんの?
近藤:納得してもらえなくても、それしか本当の意味で、あの会社を救う方法はないと思う。どうせ、もともと煙たがられてたんだ。いまさら、人のいい経理部長をやるつもりはないね。
渡真:なあ、今から人事に掛け合って、ほかの会社に出向先を変えてもらうこともできるんじゃないか?
近藤:かもな。でも、あんな会社でも、今の俺の居場所は田宮電機だ。俺は本気であの会社をよくしたいと思ってる。見捨てるわけにはいかない。たとえ社長と殴り合ってでも田宮電機を変えて見せる。相手の顔色を伺うのはもうやめたんだ。本気でぶつかるってのは、そういうことだろう?
渡真:どうした。
半沢:まだいるかもしれない。湯浅社長にあってくる。
渡真:へえ。
半沢:お前の言うとおりだ。近藤。ありがとう。
近藤:おい、半沢。
湯浅社長:本気でおっしゃってるんですか。
半沢:はい。
湯浅社長:父を会長更迭しろと。
半沢:絵画を売ることを許していただけないのなら、会長の力を奪うしかありません。
湯浅社長:しかし、私の一存ではどうにもならない。取締役会にかけて、半数以上の同意を得なければならないんです。羽根さんを支持する者たちが、同意するとは思えない。
半沢:それでも、やってもらわねばなりません。人事権を使って脅してでも同意させるんです。社長のあなたなら、できるはずだ。
湯浅社長:父を更迭するために、社員を脅せというんですか。
半沢:そのとおりです。先代の残した悪しき風習を断ち切るつもりなら、あなた自身の手で会長からこの伊勢島ホテルを取り上げるべきだ。
湯浅社長:あなたはひどい人だな。
半沢:湯浅社長、あなたは私におっしゃいましたね。古き悪しき伝統を拭い去り、新しい伊勢島