半沢直樹22
渡真利:悪かったな、こっちから呼び出しといて。
半沢:いや、大和田だろう。
渡真利:その通り、来るのが見えたんでね。さすがにフォスターの人間と一緒にいるところを見られるのはまずいかなと。
半沢:どうだった。
渡真利:交渉は順調だよ。ただ、最終的な合意はやっぱり肝心の湯浅社長の真意が分からないと決めようがないそうだ。
半沢:それはそうだ。
渡真利;そりゃそうだよ。どうなんだよ、湯浅社長。お、近藤。
大和田常務:いかがですか。湯浅社長の方は。
羽根専務:お坊ちゃんなりに悩んでるみたいですけど。明日になれば身を引く決心するでしょう。それしかホテルを救う道ないんですもの。
大和田常務:そうですね。
羽根専務:まさかと思うけど、あの半沢次長、ホテル再建の切り札を持ってる、なんてことはないでしょうね。
大和田常務:あり得ませんよ。
羽根専務:本当、あなた、どこかで恐れてるんじゃないの。彼のこと。
大和田常務:まさか。
渡真利:もう時間がないぞ、半沢、大丈夫なのか。
半沢:どうかな。
渡真利:「どうかな」って、お前伊勢島ホテルとうちの命運はお前にかかってるんだぞ。
半沢:いや、それは違うよ。渡真利。会社をどうするか決めるのは銀行じゃない、経営者だ。伊勢島ホテルを救えるとしたら、それはやはり湯浅社長しかいない。俺たち銀行員は、最後は経営者を信じるしかないんだ。
近藤:確かにその通りかもな。俺も明日田宮社長に証言を求めるつもりだ。田宮電機が真っ当な会社に戻れるかどうか、やっぱり田宮社長にかかってる。
渡真利:それだけじゃない。その証言が取れれば、大和田を追い詰めることができる。頼むぞ、近藤。
近藤:ああ、だから、お前らも金融庁検査何か何でも乗り切れよ。
渡真利:そりゃもちろん、そのつもりですよ。ねえ、半沢君。
半沢:渡真利。
渡真利:はい。
半沢:近藤、たとえどんな結果になっても、俺はお前たちと同期でよかった。そう思ってる。