A …………
B ハハハハハハ。オイ、いい加減にしらばくれっこは止そうじゃねえか。この通り誰も聞いているものはいやしねえ。いつまでも、左様然らばでもあるまいじゃないか。
A フン、ではやっぱりそうだったのかね。
B お前も中々隅へは置けないよ。あの時、俺がソッと窓から投げ出した蜜柑のことを一言も云わないで、見当をつけて置いて、後から拾いに出掛けるなんざあ、どうして、玄人だよ。
A 成程、俺は随分すばしっこく立廻った積りだ。それが、ちゃんとおめえに先手を打たれているんだから叶わねえ。俺が拾ったのはただの腐れ蜜柑が五つよ。
B 俺が窓から投げたのも五つだったぜ。
A 馬鹿云いねえ。あの五つは皆無傷だった。指環を抜き取った跡なんかありゃしなかったぜ。曰くつきの奴あ、ちゃんとおめえが先廻りして拾っちまったんだろう。
B ハハハハハハ。豈に計らんや、そうじゃねえんだからお笑い草だ。
A オヤ、これはおかしい。じゃ、何の為にあの蜜柑を窓から抛り出したんだね。
B まあ考えても見ねえ。折角命懸けで頂戴した品物をよ。仮令蜜柑の中へ押込んだとしてもよ。誰に拾われるか分りもしねえ線路の側なぞへ抛られるものかね。おめえがノコノコ拾いに行くまで元の所に落ちていたなぞは、飛んだ不思議と云うもんだ。
A それじゃやっぱり蜜柑を抛った訳が分らないじゃないか。
B まあ聞きねえ、こういう訳だ。あの時は少々どじを踏んでね、亭主野郎に勘ぐられてしまったものだから、こいつは危いと大慌てに慌てて逃げ出したんだ。どうする暇もありゃしねえ。だが、おめえの隣の席迄来て様子を見ると、急に追っかけて来る様でもねえ。さては車掌に知らせているんだな、こいつは愈々油断がならねえと気が気じゃないんだが、さて一件の物をどう始末したらいいのか、咄嗟の場合で日頃自慢の智慧も出ねえ。恥しい話だが、ただもうイライラしちまってね。
A なる程。
A ……
B 哈哈哈哈哈哈!哎,行了行了,别在这儿装腔作势,搞得跟真的似的。瞧这儿,又没人在听你说话。这种腔调,到底想装到什么时候啊。
A 噗,这么说来,还真是那么回事儿喽。
B 你小子也不是省油的灯嘛。对我那时候偷偷从车窗扔出橘子的事儿一字儿都不提,却找准时机,在这之后捡了回来。看起来,是个老手嘛。
A 我觉得自己的速度够快了。却还是被你这个家伙抢在了前头。我捡到的,只不过是五个烂橘子而已。
B 我从窗口扔出去的确实是五个呀。
A 少来这套。五个橘子都完好无损,根本没有从中挖走戒指的痕迹。那个有问题的橘子,肯定是你捷足先登捡去了吧。
B 哈哈哈哈哈哈!根本没这回事儿。完全是信口开河,可笑得很。
A 哎呀,这就奇怪了。那,干嘛要把橘子扔窗外去呢?
B 这么想想吧。费了九牛二虎之力好不容易才搞到手的东西,就算我把它藏到橘子里头吧。我会把它丢到不知会被谁捡走的铁轨旁去?你小子愣头愣脑地跑去捡,在这之前倒没被人家捡走,真就还在原地。简直太出乎意料了。
A这么说还是没讲清扔橘子的缘由啊。
B找什么急啊,好好听着嘛,事情是这样的。那会儿我不小心露了马脚,却不想被那混蛋丈夫察觉到了。情况实在太危急,我一看风紧,不由得慌了神,手忙脚乱赶紧扯呼。根本没有考虑的时间。不过,坐到你小子的旁边这么一瞧,那帮人倒也没赶紧追过来。我猜一定是在通知列车员呢。那样的话情况就更糟了,真把我急得跟什么似的。那物件儿到底该咋处理呢?危急关头平时还挺得意的聪明劲儿一丁点儿都使不出来。说起来挺丢人的,那当口,浑身上下只剩下焦虑不安了。
A 原来还有这么一出。