リカ:カンチ! 寒いね。
いい、ためだよ。そんなことしちゃ。 ごめんね。
完治:ああ?全然平気。
リカ:よかった。実は私もちょっと胸がすっとしたんだ。
完治:(はあ?)
リカ:ごめんね。この時間に寄り道させちゃってさ。
完治:いいよ。
リカ:もうちょっと待てば、会社で会えるって分かってて、我慢できなかった。
完治:何が?
リカ:私ね、ずっとこのままでいたいなんて気持ちって、今まで感じたことなかった。 明日悲しいことがあるって分かっても、私明日が来るのが嬉しかった。
でも、でもさ、完治にさよなら言わなきゃならないのかなと思ったら、
時計がかちかち行ってるの、聞いてるの怖かった。
そしたら、電話しちゃった。
トホホだよ。完治がいなくちゃ。
完治:ロス 行きなくないのか? 行きたいんだろう。
リカ:行きたいって言えば行きたい。向こうへ行けば友達いるし、仕事も今より 責任あるし、やりがいもある。
狭い東京より、海があって、お日様が近くて、 道なんか真っ直ぐで、皆元気で声が大きくて、
3ヶ月前の私ならすぐにでも返事した。今頃飛行機の上にいる。
その後、誰と出会うかもしれないで、ロスで元気よくしてたかもしれない。海外勤務の希望出したは私だし、だけどさ、あの頃の私に教えてあげたい。
海の向こうになんか行っちゃダメだよって、もうすぐあなたは素敵な人に会うんだよって、その人の名前は永尾完治って言うんだよって。好き、カンチ。それだけ。