女ゴロシ
俺の名前は、拓也。親から授かったこの顔で、女の子にはモテる。
とっかえひっかえやったって、女は俺に文句なんか言わない。だって俺に嫌われるのが嫌なんだ。
でも、同じ年にも年下にも、もう飽きた。従順なだけでは、俺の退屈は紛れやしない。
俺の理想は一筋縄にはいかない、そう、優子さんみたいな人がいい。
彼女は俺の一番近しい女性だ。恋愛に、年の差なんて関係ないだろ。
「駄目よ、たっくん。また女の子に片付けさせて。ちゃんとお片付けなさい」
幼稚園の教室で、彼女が俺を怒鳴りつけた。
俺を叱るやつなんて、親でもそうそうないのに。
でも、そんな彼女だからこそ、俺は惹かれているに違いない。
「優子先生。おっきくなったら、絶対俺と結婚してよね」
今はチビの俺だけど、十年後を待っていてほしい。