原本是吉高由里子的朗读啦~
吉高的声音超级有特点。
一共是六个关于恋爱的故事。
除了这一篇还可以,剩下的总有点不是很喜欢。。
终于捡起了尘封好久的账号hh
希望可以多朗读点东西~
恋時雨
— 恋が時々涙が出る。
Ep4 きみの隣を
ショーウィンドーを覗いている間に、彼の姿を見失った。
付き合い始めたばかりの彼と私は、歩くペースが全然違う。
彼は真っ正面を睨みつけるように見つめ、ガシガシと大股(おおまた)で進む。
きょろきょろしながら歩くのが癖である私は、多分、普通の人よりもスピードが遅い。
車が行き交い(いきかい)、脇には、法定速度が書かれた道路標識がにょっきりと立っている。
歩くスピードも車みたいに決まってればいいのに。
恋人たちは時速5キロメートル以下、とか。乳母車(うばぐるま)は時速3キロ。ダイエット中の人は、早く歩くから、6キロ。
そんな想像をして、息を吐(つ)いた。
男の人と歩くのが久しぶりだった私は、人によって、歩くスピードが違うのだということを、彼との初めてのデートで思い出した。
母の恋人であった父は決して歩みを遅めなかった。
私も母も、だからいつも置いてきぼりだった。
私の記憶の中の父は、いつも背中だった。
帰ろうかな。そう思った時、鞄の中で携帯が震えた。
慌てて出ると、やっぱり彼だった。
「逸れちゃったみたい」と言うと、「怒って帰っちゃったと思って、慌ててたんだ」と彼は返した。
「怒ってなんかないよ」私の言葉に彼は安堵な声で、「よかった、本当によかった」と嬉しそうになる。
でも、本当は私、少し怒っているのかもしれない。
電話を切ろうとする彼を遮(さえぎ)って、思い切って言ってみる。
「ねえ、私たちって歩くペースが全然違う。私は歩くのを少し早めるから、あなたには少し遅くしてほしいの」
彼は驚いたのか、何も言わない、私の言葉を待っている。
「つまり、つまりね、できたら、私はあなたの隣を歩きたいって思ってる」
彼は優しく、そしてゆっくり、「うん」とだけ言った。
やがて、「見つけたよ」と言った彼の声は軽く弾んでいる。
彼が走ってくる。私の隣を歩くために。
いずれ、雨の降る頃になって、一緒に歩く時、私は、彼の傘のさし方を好きかどうか分からない。
もしそうだったら、ちゃんと言おう。一つずつ、一つずつ。
ちゃんと言葉にして言おう。
そう決めたから私は彼の方へ向かって、足を踏み出した。