逆境の教科書 ピンチをチャンスに変える思考法

逆境の教科書 ピンチをチャンスに変える思考法

2016-02-08    12'19''

主播: 索谓

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介绍:
◆著者プロフィール 著者である山口伸廣さんは20代で建築会社を設立し、数多くの逆境を経験しながらも、建築・不動産業を中心に事業を拡大してきました。 40代で総資産230億円を築いた成功者でもありました。 しかしながら、49歳の時に、会社乗っ取りに見舞われ、一晩にして総資産230億円を失います……。 その後、再び起業し、現在は上場企業を含む十数社の経営に携わるなど、完全復活を遂げました。 また、アートへの造詣が深く、神奈川県湯河原の「人間国宝美術館」やアート教育をカリキュラムに持つ幼稚園の経営など、アート関連事業も、持ち前の発想力と行動力で実現されてきた方です。 最近では「アートオリンピア2015」という世界的アートコンペティションを実現するにあたって東奔西走し、創始者としてプロジェクトを統率しました。その結果、世界52カ国から計4186点もの作品が寄せられるなど、成功の立役者となりました。 実業家として、数多くの失敗や逆境を経験してきたという山口さんですが、その中でも一番大きなものは49歳の時に会社乗っ取りに見舞われ、総資産230億円を失ったことでしょう。 本書の書き出しも、そのエピソードから始まっています。 当時、年商平均100億円の会社を経営していた山口さん。 プール付き三階建ての自宅を所有し、数多くの作品を収蔵した美術館を所有するなど、まさに成功を謳歌していました。 しかし、ある日、会社に言ってみると、経理担当の社員から「社長!金庫にお金と実印がありません!」と報告を受けるのです。 一体何が起こったのか?と山口さんが困惑していると、経理部長がやってきて、こう言いました。 「社長を解任します」と。 そう、この経理部長は、山口さんの知らないところで、会社乗っ取りの計画を進めていたのです。 詳しくは本書を読んで欲しいのですが、結果として山口さんはその後、経営者の座を奪われ、10年に及ぶ裁判を経験することになります。 また、当時、山口さんが所有していた個人資産は、会社が銀行から受けていた融資を個人で保証していたため、そのカタとして銀行に差し押さえられてしまいます。 成功の象徴だった豪華な自宅も、銀行に差し押さえられてしまいました。 なお、その際に、銀行が山口さんの元自宅に付けた値段が1億円。 ここで、不動産業を営んでいた山口さんは、自分の自宅を銀行が1億円で他社に販売するのは難しいと判断し、銀行にこのように提案します。 「自分が販売を代行するから、競売にかけられた自宅の販売価格を8000万円にしてくれないか?」 そして、自ら不動産会社をかけまわり、結果的に自宅を1億1000万円で売却することに成功。そのうち8000万円を銀行に返し、残った3000万円を元手に新たなビジネスを始めようとするのです。 その新しいビジネスとは「競売物件売買」。 そう、自宅を自ら売るという経験から、このビジネスは有望だ!と気付いたのです。 だいぶ、端折って語ってしまったので、なんだ、著者の山口さんって、元々強い人なんじゃないか。と思ってしまった方もいるかもしれません。 ですが、実際のところは、本に書いてあるだけでも、そうとうに精神的に追い詰められていたように感じます。 信じていた社員の9割は、向こう側に付き、ビジネスの関係だけでつながっていた取引先とは、疎遠になり、「アンタんとこの仕事は支払いが心配だからできないよ!」と面と向かって言われた事もあるそうです。 そのときの悔しさは、今での言葉にできないと、山口さんは語っています。 また、裁判で取っ組み合いになる事もあったそうですし、「本気で誰かを殺してやりたいと思ったのは、後にも先にもあの時だけ」なんていう文章も書かれているので、おそらく本に書けないくらい、絶望、不安、後悔、憤怒、怨恨に溢れていたのでは……と僕は思っています。 しかし、そんな「逆境」から立ち直るきっかけは、成功の象徴である自宅を自ら売却した経験だったのです。これはすごいですよね。 僕も、なぜ当時の山口さんにこんなことができたのか?と不思議に思いました。 【逆境を乗り越える5つのアクション】 山口さんが根っからの実業家だったから?そのように僕は考えました。 結果としてこれは、半分正解だったように思えます。 というのも、本書の第2章で山口さんが紹介している「逆境を乗り越える5つのアクション」ここにヒントがありました。 表面だけ触れると…… 「逆境を乗り越える5つのアクション」 その1、手帳を買う その2、逆境をバラバラに分解する その3、びっしり予定を入れる その4、予定通りに淡々と行動する その5、えくぼができるくらい大きな笑顔をつくる こういった内容です。 詳しい解説は、本書を読んでもらうとして、ここで僕が気付いた、逆境から立ち直るヒントとは、 「客観的に物事を見つめる」ということ 「自分の感情を排して、とにかく行動する」ということ 「他人とのコミュニケーションは笑顔で進める」ということ、です。 後々、本を読んでいくと分かるのですが、「逆境」に陥ったとき、人はとにかく悩みや不安で頭が一杯になってしまうそうです。 なので、ネガティブになってしまうなら、あまり考えすぎない方が良い。 考えるなら、ポジティブなことか、客観的な分析のみにする。 そして、行動は「淡々とする」。 「失敗したらどうしよう」とか「断られたらどうしよう」とか、「上手くいかなかったらどうしよう」とか、考えない。 とにかく、手帳にびっしり予定を入れてしまって、その通りに動くことが大事なんだそうです。 しかしながら、笑顔は忘れてはいけない、と山口さん。 なぜならば、行動をするなかで、新たに構築していく「人脈」が、自分を助けてくれるからなのだそうです。 では、ここで本書の各章に何が書かれているのか見ていきましょう。 第1章「逆境はかならずなんとかなる」 ここでは山口さんの経験を通して逆境は乗り越えられるというお話をしています。 第2章「逆境を乗り越える5つのアクション」 先述した5つのアクションを紹介、解説している章です。 第3章「逆境のときするべきこと  自分自身を知る」 逆境を乗り越えるときに必須の「自分に対する心構え」を説いています。 第4章「逆境のときするべきこと  考え方」 ここでは逆境のときの「考え方」について触れています。 第5章「逆境のときするべきこと 行動パターン」 前章の流れを受けて、逆境のときに実際にどのように行動すべきかを教えてくれる章です。 第6章「逆境を乗り越えた先に広がる世界」 山口さんが逆境を乗り越えた先に、どんなことがあったのか、この章でお話されています。 プロフィールのときにお話した「アートオリンピア2015」のことなど、より広い視点で活躍する山口さんの成長が見て取れる章です。 ではそろそろまとめに入りたいと思います。 本書は「逆境の教科書」と銘打っていますが、「逆境」とは言わないまでも、「いつも自分に自信が無い」「いつもくよくよ思い悩んでしまう」そんな方にもオススメしたい一冊です。 実は、本書に書かれているノウハウの根底にあるのは、「自分を信じる方法」でもあるのではないか?僕はそんな風に読み取りました。 目の前の苦難に目を向けて、クヨクヨ思い悩むよりも、自分の内側に目を向けて、「自分自身を知る」。 山口さんはそのようにして復活を遂げてきたのです。 そしてネガティブな感情を排し、淡々と行動する傍ら、自分が本当にやりたい事をポジティブに見つめなおす、逆境にはそういうチャンスがあると言います。 実際に山口さんは、逆境を乗り越えて、大好きなアートの世界的イベントを起こすことに成功しました。 これは山口さんが元々強かったからではなく、逆境の中で、自らの弱みを知り、それを元に強みを探し出したから。 また逆境の中で、自らのコンプレックスを自覚し、自らの夢を見つけ出したから。 こういった作業を繰り返したきた結果なのです。 何か思い悩んでいる皆さん。 ぜひ、本書でピンチをチャンスに変える方法を学んでみてください!