第五回
(自分の子供に)
絵理ちゃん、いらっしゃい
絵理ちゃん、来てください
わが子への呼びかけ。「いらっしゃい」の言い方は、明らかに自分の子供に尊敬語を使っています。丁寧語で結んでいないことで、自分の子供であることは想像がつきます。さらには「来てごらん」よのような、尊敬語を使うこともあります。誤りに見えますが慣用として正しいのです。
敬語の特色として、弱いものや幼児に対しては、しばしば上位者の待遇表現をします。これは親愛や思いやりを表し、“親愛語”といいます。この場合、「来なさい」のような普通の命令形でも、間違いではありません。「~てください」のように結ぶと誤りです。
○絵理ちゃん、いらっしゃい
○絵理ちゃん、来てごらん
×絵理ちゃん、来てください