喜びをひしひしと感じる
擬音語も的確に使わないと奇異になる
『連想ゲーム』といえば、かつてのNHKの人気番組。そのなかに「ワンワン・にゃーにゃー」などの擬音(声・態)語(オノマトペ)が出題された。日本語には、なんとまあたくさんのオノマトペがあることかと感心した人も多かったはずである。
しかし、最近は、このオノマトペの使い方が少しずつ変化している、というより、間違って使われるケースが増えているようだ。
たとえば「ひしひし」という言葉である。これは「強く身に迫ってくる。様子・強く身にこたえる様子」をいったもので、「寒さをひしひしと感じる」「プレッシャーをひしひしと感じる」のように使う。ところが、最近は、「喜びをひしひしと感じる」のように、喜びや幸せなどの“うれしい感情”に浸る、という意味でも使う人が多い。
しかし、すでに述べたように「ひしひし」は、強く身に迫ったり、身にこたえる様子。つまり、自分の外側から押し寄せてくるものに対して使うのが普通だ。喜びや幸福感は、自分の内側からわき上がってくるもの。こんなときは、「喜びをしみじみと感じる」のほうが自然な言い方のはずだ。