母は歌う(妈妈在歌唱)散文 日语日文

母は歌う(妈妈在歌唱)散文 日语日文

2016-10-22    02'52''

主播: 光金大叔

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介绍:
親子の日賞「親子の日」 「母は歌う」長崎麻比子 埼玉県 43歳 私の母は、いつも歌っていた。 朝、窓をあけ空にむかって歌い、ご飯を作りながら歌い、掃除をしながら歌い、犬の散歩をしながら歌い、テレビを見ては歌い、夕焼けを見ては歌う。しかもそれは、鼻歌なんかではない。 声量もマックス、歌詞も音程もミスなく、かなり本気で歌う。 日々、お母さんコンサート開催中なのだ。 レパートリーも豊富に、童謡、合唱曲からイタリア歌曲まで、リクエストがなくても歌う。 本人は、いたってご機嫌だが、子どもの頃は正直、大迷惑だった。 スーパーで野菜を選びながら、コンサートばりに歌い上げる母を、同級生に見られるのは、とてつもなく恥ずかしい。 「かっこ悪いから、歌うのやめてよ」私がそう言った時の、母の顔を今でも覚えている。 あれから、30年以上たっただろうか。70をすぎた母は、まだ歌っている。流れる月日のなかで、母もずいぶん年老いた。足も遅くなったし、背中も丸くなった。楽しいことばかりでは、なかったはずだ。胸が張り裂けそうで、歌えないような日々もあっただろう。 でも、母は今日も歌う。そして私はいま、歌う母がたまらなく好きだ。 もうすぐ、母がレッスンに通っている、声楽の発表会がある。大きな花束を持って行こう。写真も撮ろう。そしてその優しくて、のびやかな歌声を、いっぱいいっぱい、感じようと思う。