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働きすぎて死ぬのはおかしい。
2015年5月26日
働かないと、家族を作らないと、お金がないと、本当に幸せになれないのでしょうか。京大卒の日本一有名な“ニート”、phaさんが提唱する自由で伸び伸びとした生き方。その名も『持たない幸福論』の一部を特別掲載いたします。初回ですが、いきなり「あとがき」と「ゆるく生きるためのブックガイド」から。
あとがき
今日もまたサイゼリヤに来てしまった。家の近くのサイゼリヤは駅からも幹線道路からも遠いのでいつもあまり混んでいなくてお金をかけずにのんびりと過ごせる第二の自宅のような場所だ。
平日昼間はランチとドリンクバーのセットが六百十円(税込)で頼めるので、午後二時か三時頃に遅めの昼ごはんを食べてから夕方過ぎまでドリンクバーでカプチーノをお代わりしつつ本を読んだり本やブログに載せる文章を書いたりするというのが最近のよくある行動パターンになっている。
家には机と椅子がないからすぐに横になってだらだらしてしまうので、何か作業をしたいときは喫茶店やファミレスに来ることが多い。
ファミレスのいいところは安いところと机が広いところと、あとはひたすら放置してくれるところだろうか。最近の水さえもセルフサービスで取りにいかなければいけない格安系ファミレスでは呼び出しボタンを押さない限り店員は一切やって来ないので、注文したあとに何時間もだらだらくつろいでいても居心地が悪くならない。
僕は大体店の隅っこの席で靴を脱いで椅子の上であぐらをかいて机の上にノートパソコンを広げてキーボードをカチャカチャと打っている。
そういえばノートパソコンが最近壊れてしまったので新しいのを買った。Chrome OSというグーグルが最近作ったOSが載っているやつで、値段は新品で二万八千円。安いマシンだけど、ネットを見たり文章を書いたりするだけならそんなに不自由なく使える。
文章を書くというのはお金を得る手段としてはあんまり稼げなくて大変だけど、趣味としてはあまりお金をかけずに長く楽しめてコストパフォーマンスが良いから、みんなもっと趣味として文章を読んだり書いたりをいっぱいすればいいと思う。
今はブログやSNSなど気軽に書ける場所はたくさんあるし。僕も今回たまたま本を書いているけど、もともとは十年以上ずっと趣味でブログを書いていただけだった。ネットで何かを発信するといろんな反応が返ってきたり知り合いが増えたりするので楽しいし。
文章を書く力を付けるにはたくさん本を読むのがいい。面白い本を読むと人に紹介したくなったり自分の思ったことを書いたりしたくなるものだし。僕は大体いつも図書館で借りた本ばかり読んで暮らしているんだけど、この本で伝えたかったことの一つは、「本に書いてあるようなちょっと難しい知識は現実の生活と切り離されたものではなくて、知識と現実は繋がっていて、知識は人生を変えるし社会を変える」ということだと思う。
この本は、本で得られる知識と、僕の怠惰な生活と、お金がなくてもいろんなことをやっていく具体例みたいなものの三つを、シームレスに繋げて混ぜ合わせて、できるだけ読みやすい文章で説明してみた、という感じだろうか。
僕のことを「京大を出てまともに働かず貧乏暮らしをしているのはもったいない」などと言う人もいるけれど、僕が大学受験や大学生活で得たものは本を読んだり学んだりすることの面白さや勉強の方法やコツで、今の僕の生活はその得たものを十分に活用できていると思う。何かを学んで身につけて活用する、そのやり方さえ忘れなければ、どこに行ってもわりとなんとかやっていけるものだと思っている。
僕が一冊目の著書『ニートの歩き方』を出版したのは二〇一二年のことだった。その後、次は対象をニート周辺に限らずに、もっと広く「なんか人生疲れるなー……」って思ってる人全体に向けて何かを書いてみたいという気持ちはあったんだけど、のんびり進めていたらいつの間にか三年も経ってしまっていた……。まあ「働きすぎて死ぬのはおかしい」という内容の本を書くために働きすぎるのは何やってるんだという感じがあるので、そんなものでいいだろうか。
最後まで読んでいただきありがとうございました。ではまた、ネットや本などの文章かもしくは現実世界でか、どこかで機会があればお会いしましょう。
pha
http://pha22.net/