福島の18歳、渡辺智広さんが一票への心情を詠む。〈選挙権初めて投票してみたがまだ、私には早かったみたい〉。早くなんてないから、次もその次もぜひ投票してください。昨年も地震や豪雨が各地を襲った。〈台風来て電車止まると期待した小さい自分に被害で気づく〉と詠んだのは長野の高1佐々木優果(ゆうか)さんだ▼ログイン前の続き東洋大学が募る「現代学生百人一首」が30回を迎え、作品は累計130万首を超えた。今回の入選作を一部紹介したい▼〈おもしろい友とのメールで「笑」の文字それ打つ自分笑っておらず〉高尾みずき。人付き合いで空気を読んで、もやもやするのは大人も変わらない。〈君からの通知がないか確かめる10分ごとに重なる指紋〉池内絵美香。スマホを手に、キュンとする▼夜明け前から頑張る。〈3時起き搾乳をしてしばれる手牛のぬくもり私のカイロ〉安藤朱生(しゅう)。何かと忙しいけれど、疲れをためすぎないで。〈目がうつろ磁石みたいに眠たくてSが机でNがおでこだ〉川波美咲▼相当すてきなおじいちゃんである。〈土曜授業いつも見に来るうちの祖父今じゃすっかりクラスの一員〉長嶋凜(りん)。親との距離が変わってゆく。〈両親と議論していて論破した次から誰を頼ればいいの〉赤羽(あかはね)佑太▼孤独になり、迷い惑う時間も若者を強くする。〈誰もいないある教室で独学の辛(つら)い気持ちを鉛筆は見てる〉劉せいとう(りゅうせいとう)。〈くるくるとコーヒーカップに回されて起点を探す高一の夏〉関結月(ゆづき)。回り転がり、道はやがて見えてくる。