人のくせに私を見て動じないとは生意気な!…なんか言え!
慣れているんでね。
ふてぶてしいやつ目!おや?お前、夏目レイコじゃないか?
レイコ…
なんだ、違うのか?
夏目レイコは祖母の名だ。
祖母?なんだ、お前はレイコの孫か。なるほど、よく見れば男だ。
よく見なくても男だよ。
人間と違ってな、われわれは性別などはさほど頓着せんのだ。
祖母を知ってるのか?
ああ。この近くに住んでいてな、それはそれは美しい人間だった。そしてお前のようにアヤカシ者を見ることができた。だが、周りの人間には見えない。誰もレイコのことが理解できなかった。レイコはいつも一人だった。いつもいつも一人だった。