なんだって「夏=海・プール・バーベキュー・夏祭り・花火」が正解みたいになってんのかって話だよ。
涼しい部屋で一人読書するのも、風呂上がりに一人で「うひょうー」とか叫びながら裸でアイスを食うのも、夜中にふと一人で夏の大三角見るのも、蚊取り線香に火をつけて一人うっとりするのも、風鈴の音を聞きながら一人うとうとするのも.どれも素敵な夏の思い出だろうが。
夏は一人でいい。一人がいい。暑いし。
今日も世界は俺が関わらずとも正常に回っている。
そんな、比企谷八幡がいなくても、ちゃんと回っている世界、というのを実感する。そのことに密やかな安心を覚えるのだ。
かけがえのない存在なんて怖いじゃないか。それを失ってしまったら取返しがつかないだなんて。失敗することも許されないだなんて。二度と手に入らないだなんて。
だから、俺は今、自分が築いている関係性とも呼べないような関係性がわりと好きだ。何かあればたやすく切れて、誰も傷つかない。