九月二十三日 雪
今日も雪原は昨日と変わりなく吹雪いていた。その雪の中、私は一人の痩せ細った男を見つけた。彼は非常に辛そうだったが、少しずつ前進を続けていた。しかし、やがて雪の中に倒れた。なぜこのような天気の中、雪原に入ったのか、私は彼に興味を持った。
雪原的雪永远不会停止,今天也是,和昨天一样。
不过今天,我在雪原里发现了一个瘦弱的人类。
他一步、一步地向前跋涉,最后倒在了茫茫大雪之中。
为什么在这大雪纷飞的时候,他还要到雪原来?我忍不住好奇了起来。
九月二十五日 雪
今日、男が目を覚ました。精確に言うと、彼がなかなか起きないので、私の力で目を開けたのだ。しかし、彼はちっとも恐れる様子を見せなかった。「あのう、雪蓮はどこに咲いているか、知っていますか」突然彼はこんな質問をした。場所を教えてあげた。そして、好奇心から同行することにした。そう、ただ、好奇心から。
単語:
痩せ細る(やせほそる):消瘦
目を覚ます(さます):醒来
今天,那个人醒了。不过他也不算完全醒来,也仅仅是艰难地睁开了眼睛而已,在这冰天雪地之中。意外的是,他看到我的时候,一点都没有害怕。
「请问,你知道哪里有雪莲吗?」
他突然这么问我。我回答了他。因为我很好奇他想做什么,就和他一起去了。
我没有说谎,我只是好奇而已。
九月二十六日 雪
人間は本当に弱い。私が吹雪きを操って、道を開けてあげなければ、絶対にここまで来れなかっただろう。とは言え、残念だが、私が彼にできることと言えば、それぐらいだ。彼を癒す力は私にはない。
人类真的太脆弱了。
如果我没有跟着他、呼风唤雪为他开路,他绝对不可能走到这里来。
不过遗憾的是,我能为他做的也仅仅只有这些而已。
他的病痛……我没有办法治好。
九月二十七日 雪
この男はもうすぐ死ぬだろう
他应该就快死了吧。
九月二十八日 雪
彼はそんな体でも必要に前進する。もし彼が死んでしまえば、雪山の頂上が汚れてしまう。もし死んだら、どこかに埋葬してやろうか。
単語:
操る(あやつる):操纵;掌握;运用
他都快要死了,可还是坚持要去采雪莲。如果他死了,雪山之巅就不再是净土了,我还是把他带到别的地方埋葬他吧。
九月二十九日 雪
彼はやはり死んでしまった。しかし彼は、妻と別の場所に埋葬されることを頑なに拒んだ。あまつさえ、雪山の頂上にある雪蓮を彼の妻の墓に備えてくれないかと頼んできた。こんなくだらない約束のために、彼は自分の命を賭けたのか。私は温度を感じられない。しかし、その男から渡された雪蓮で私は手が焼けたような感じがした。何故人間はこのような人の心を溶かす感覚が好きなのだろうか
単語:
拒む(こばむ):拒绝
頑な(かたくな):顽固的
剰え(あまつさえ):而且,并且
九月二十九日雪
他果然真的死了。但是他不让我把他埋在与妻子不同的别的地方,而且请求我将雪山之巅的雪莲带到他妻子坟前。
为了这样一个无聊的承诺,他居然付出了自己的性命。
我是感受不到温度的,但是这个男人递过来的雪莲,却让我觉得手心烫得就要燃烧了起来。
连我的心都要融化了……为什么人类会喜欢这种感觉呢?