人間失格
飯を食べなければ死ぬという言葉は自分の耳にはただ嫌なおどかしとしか聞こえませんでした。その迷信は(今でも自分にはなんだか迷信のように思われてならないのですが)しかしいつも自分に不安と恐怖を与えました。人間は飯を食べなければならぬという言葉ほど自分にとって難解で晦渋でそうして脅迫めいた響きを感じさせる言葉はなかったなのです。
"不吃饭就会死"--这句话在我听来,只是一种令人讨厌的恐吓。但是,这样的迷信(至今我仍认为这是个迷信),却一直带给我不安和恐惧。"人不吃东西就会死,所以一定要工作赚钱、吃饭,"对我来说没有比这句话更晦涩难懂更充满胁迫感了。
つまり自分には人間の営みと言うものがいまだに何もわかっていないということになりそうです。自分の幸福の観念と世の全ての人たちの幸福の観念とがまるで食い違っているような不安、自分はその不安のために夜々転々し呻吟し発狂しかけたことさえあります。
也就是说,至今我对于所谓"人的营生"这件事上会有所理解。我为自身和世间人们的幸福观念不一致深感不安,这份不安令我夜夜辗转难眠,梦呓呻吟,濒临发狂。
自分はいったい幸福なのでしょうか。自分は小さい時から実にしばしば幸せものだと言われてきましたが自分ではいつも地獄の思い出でかえって自分を幸せものだと言った人たちの方が比較にも何もならぬくらいずっとずっと安楽なように自分には見えるものです。
我究竟幸福吗?虽然从小被人说成是幸福的孩子,可是我就感觉生活在地狱里一般。反倒是那些认为我幸福的人的生活平平安安,去看起来好像什么事都没有似的,远比我幸福的多。
单词卡
恐怖(きょうふ)①⓪: 恐怖,恐惧,恐慌
難解(なんかい)⓪: 难解,难懂
晦渋(かいじゅう)⓪: 困难,困苦;迟滞,难办
地獄(じごく)⓪③: 地狱;饱受折磨(的场所)
安楽(あんらく)⓪①: 安乐,舒适