麻生くんへ
面と向(む)かっては 素直に言えなさそうだから、手紙を書きます。
いつもそばにいてくれて、ありがとう。
励(はげ)ましてくれて、ありがとう。
自分の夢を見つけて、生き生きと輝(かがや)いている 麻生くんを見ると、あたしも嬉しくなります。
いろんなことを学んで、いろんな人と出会って、あなたはこれからも、ずっとずっと生きていく。
あなたの未来は無限(むげん)に広がっている。でも、私は違います。
私に残(のこ)された未来(みらい)は、何(なん)とかして生きる、それだけ。
ただそのことだけ。この差(さ)はどうしよもありません。
毎日、自分と闘(たたか)っています。
悩んで、苦しんで、その気持ちを抑(おさ)え込むので 精一杯(せいいっぱい)です。
正直に言います。麻生くんといると 辛いです。
あんなこともしたい、こんなこともしたい、もしも健康だったらできるのにと、思ってしまうんです。
麻生くんといると、叶(かな)わない本気(ほんき)な夢を描(えが)いてしまうんです。
もちろん、麻生くんのせいじゃありません。
でも、羨ましくて、情(なさ)けなくて、どうしても今の自分が 惨(みじ)めになってしまうんです。
そんなんじゃ、前を向いて生きていけないから。
いろいろしてくれて、ありがとう。
こんなあたしのこと、好きって言ってくれて、ありがとう。
何も返せないで、ごめんなさい。
もう、会えません。