《罠の中》(五) [東野圭吾]

《罠の中》(五) [東野圭吾]

2016-05-18    04'30''

主播: 大黒

322 19

介绍:
《罠の中》(五) 原文 リビングには細長いテーブルが用意してあって、そこでは七人の男女が利彦たちを待っていた。若い二人が姿を見せると、期せずして拍手が起こった。 利彦と百合子は彼らの中の空いた席に並んで腰を下ろした。これを確認してから孝三と道代も、席に着いた。 孝三がビールの入ったグラスを持ち上げて、全員の顔を見回した。 「えー、ようやく主賓が来たので始めることにしよう。こちらにおられるのが、利彦が連れて来た、やつの花嫁候補の高田百合子さんだ。というより、もう本決まりといったほうがいいな。このようにひじょうに美人だし、はっきりいって俺は一目で気にいってしまった。これで親代わりをつとめさせてもらってきた俺としても、肩の荷がおりた思いだ。あとは二人仲よく、元気で暮らしていってほしいと思う。では乾杯」 乾杯、と他の者たちも、グラスを合わせた。利彦と百合子は、立ち上がって一礼し、それからまら椅子にすわった。こうして、若い二人を祝福するパーティーは始まったのだった。 このパーティーを言い出したのは孝三だった。利彦は彼の姉の息子で、その姉も義兄も病気で死んだため、彼が親代わりとして面倒をみてきたのだった。孝三には子どもがいなかったのだ。