空飛ぶロボットは黒猫の夢を見るか ドローンを制する者は、世界

空飛ぶロボットは黒猫の夢を見るか ドローンを制する者は、世界

2016-05-15    13'02''

主播: 索谓

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介绍:
◆著者プロフィール 高城剛さん。1964年柴又生まれ。 日大芸術学部在学中に「東京国際ビデオビエンナーレ」グランプリ受賞後、メディアを超えて横断的に活動してきた方です。 総務省情報通信審議会専門委員など公職も歴任し、2008年からは拠点を欧州に移して活動されています。 現在はコミュニケーション戦略と次世代テクノロジーを専門に、創造産業全般にわたって活躍を続けています。 こんにちは、ブックナビゲーターの矢島雅弘です。 さて、今回紹介する本は、近年巷で話題のドローンについての一冊です。 ドローンというのは「無人航空機」のこと。 最近、民間でホビー品として出回るようになり、首相官邸に落下したり、法規制が議論されたり、はたまたアマゾンがドローンを使った配送を構想しているなど、ニュースでも度々話題になりましたよね? 元々は軍事目的で開発されていたドローンでしたが、この本では今言ったような民間用のドローンについて語られています。 高城さんは、2012年頃に初めてドローンを購入して以来、その魅力にハマり、数年間で30機以上のドローンを購入、使ったお金は1000万円を超えたそうです。 元々「かなりの大金をテクノロジーに貢いできた」と語る高城さん、ドローンに関しても、その魅力と可能性を本書で大いに語っています。 ただ、この本はいわゆる「ドローンとは何か?」という入門書的な本ではありません。 後ほど詳しく語りますが、本書で高城さんは「ドローンが世界をどう変えるか」といったことを深く考察しています。このあたりは、まさに次世代テクノロジーを専門とする高城さんならではの貴重な意見だと感じました。 では、ここから本書の内容を、かいつまんでご紹介していきましょう。 各章のタイトルと、どんな内容なのかをざっくりご紹介します。 第1章 ドローンの現状 最初から非常に興味深いお話だったんですが、この章では高城さんがまだ民間に登場したばかりのドローンの現状について、未来予測を交えながらお話をしています。 特に興味をそそられたのは、高城さんの持論である、ドローンの分類の仕方。 それは「インターネットの延長線上にないドローン」と「インターネットの延長線上にあるドローン」という分け方でした。 「インターネットの延長線上にない」ドローン、というのは主にホビーとしてのドローンのことです。 対して「インターネットの延長線上にあるドローン」というのは、アマゾンの配送サービスなどで利用される予定のドローンのこと。 つまり使用目的で分類しているんですね。 高城さんは、後者の「インターネットの延長線上にあるドローン」に特に注目しています。 というのも、ドローンとは言ってしまえば「新しい技術」なのです。 この新しい技術をどのように使うか?というのが、テクノロジーの世界では非常に重要になります。 例えば、一昔前の「新しい技術」といえばインターネットが上げられますね? このインターネットも初期の頃はEメールを送るだけ、なんていう使い方がされていました。 しかし、そこにYahoo!やグーグルがサーチエンジンを提供し新たな価値が見出されてきたのです。 さらにさかのぼれば、自動車の誕生も「新しい技術」でした。 ただ個人が乗って移動するだけだった自動車は、その後、運送会社やバスの登場などによって、新しいインフラに成長していきます。 皆さん、気付いたでしょうか? 僕はもうこの時点でワクワクが止まりませんでした。 つまり、ドローンの誕生によって次なる革新的な商品・サービスが誕生する可能性が高いのです。 そうなれば当然、それに関わる産業も生まれます。 高城さんが本書で示した例としては、配送サービス。 アマゾンが既に構想していますね。 これが実現すると、ネットショッピングで「デジタル化できないモノ」がさらに便利に買えるようになり、「音楽のダウンロード完了までにあと2分40秒」みたいな表示が、「お買い上げのチーズケーキがご自宅に到着するまでにあと2分40秒」という世界がやってきます。 この時に、どんな技術・産業が必要になるか? 本書はそのビジネスチャンスを掴むきっかけにもなるでしょう。 例えば今のお話で、僕がこの本から想い描いたビジネスチャンスは、「ドローン本体の開発メーカー」「ドローンの部品の生産メーカー」「GPSを利用したドローンの位置情報把握サービス」「ドローンによる配送サービス」「ドローンを使用した農作物の産地直送サービス」などなど! さらには、もしドローンが広く普及する世の中になるのならば「ドローンの飛行空域を提供するサービス」なんてものも出てくるかもしれません。 自動車の誕生によってインフラ産業や部品メーカーが生まれたように、ネットの誕生によって、プロバイダーやサーチエンジン、SNSが生まれたように、ドローンには大きな可能性が眠っているかもしれないのです! この本を参考に、皆さんの今のお仕事で、ドローンを使って何ができるかを考えるのも面白いかもしれません。 第2章 ドローンと世界三大メーカー 2章では、高城さん自らが、今のドローン業界における3大メーカーのトップにそれぞれお話を聞きに行っています。 ドローンの三大メーカーとは…… 1)元IT業界で最も発言力のあった記者、クリス・アンダーソンが率いるアメリカの「3Dロボティクス」 2)シェア7割を誇り業界首位の座にいる、中国「DJI」 3)その2大メーカーに押されながらも独自の存在感を出す、フランス「パロット」 この3社です。 面白いのが、この3社のドローンに対する考え方が、それぞれ違う未来を見ていた事ですね。 ざっくりご紹介すると…… ・アメリカの3Dロボティクスは、「現実世界のグーグル」を目指し、ドローンによって世界をどう変えていくか?を重視しています。 ・一方、中国のDJIは、圧倒的な開発力を保持し、徹底的な秘密主義路線をとり、安価にドローンを普及させる方針をとっています。 ・そしてフランスのパロットは、自らを「美しいおもちゃを作る会社」と定義し、ドローンを渡り鳥に見立てた美学を追求しているのです。 この章は、高城さんのフットワークとグローバルな視点が光る章ですね。 僕個人は「ドローンによって世界がどう変わるか?」という3Dロボティクスに着目したいところですが、日本経済の現状を考慮するならば、すでに多くの日本製部品を取り入れているDJIの戦略に乗るというのも一つの手かもしれません。 なお、日本のドローンメーカーは誕生しないの?と思った方は、3章にある高城さんの意見を読んでみて下さい。 日本のメーカーに対してのちょっとした苦言が載っていますよ。 第3章 ドローンと日本 3章では、日本におけるドローンの現状を紹介しています。 実は「改正航空法」によって、ドローンの飛行については2015年に定められているんですね。 こういった法整備の問題点や、日本のドローンメーカーの可能性などが述べられています。 第4章 ドローンの未来 4章では、高城さんが考えるドローンの未来についてが語られています。 中でも僕がワクワクしたのは、「モノのインターネット」(通称、IOT)ではなく、「インターネットのモノ化」というお話。 先ほども言及したように、デジタル化できないものをドローンが運ぶことによって、インターネットと現実世界が結びつくんですね。 実家の母親が「庭で美味しそうな柿が取れました」とメールに写真を添付してくれるのが今の世の中ですが、もしかしたらドローンによって、柿そのものが添付されてくるかもしれないのです。 さらには、ドローンによるサーチエンジンのお話。 法整備などが必要ですが、もしかしたらネットの検索欄に「渋谷に居た大道芸人」などと入力すると、ドローンがその人を見つけてくれるかもしれません! ……想像するだけですごいお話ですね。 ちょっと信じがたいレベルでもあります。 ですが、皆さんはインターネットやスマートフォンが登場した時に、今のような社会が実現し、グーグルやアップルが巨大企業に成長すると予測できていたでしょうか? 高城さんは本書でこうも語っています。 「革新的な商品・サービスが登場したとき、その本質的な価値がすぐには理解されないことは歴史に何度も現れた。」 まとめると、本書はドローンの本質的な価値にアプローチする、その一助となる一冊だと思います。 ぜひ皆さん、読んでみて下さい。