第二回
お手紙を差し上げる
手紙を差し上げる
「お手紙をいただく」ならよいのですが、「差し上げる」自分の手紙に「お」を付けるのはおかしくないかという疑問があります。たしかに、自分側の物事ではあるのですが、相手に所属していく物事であることを表すため、敬語表現となるのです。「お」「ご」には「ご返事(お返事)」「お電話」「お歳暮」「お礼」「お礼」「ご説明」「ご辞退」「ご報告」などがあります。これは謙譲を表す接頭語なのです。誤りではありません。
「あなたの」だけではなく、「あなたへの」を表す「お手紙を差し上げる」のような「お」「ご」を“所属尊称”と呼びます。相手の動作や事物の所属•帰属を通して敬意を表す働きをするのです。“所属尊称”の「お」「ご」は接頭語なので、漢字の「御」ではなく、仮名書とします。
○お手紙を差し上げる
×手紙を出し上げる