燕:夏目さまは兄弟いますか?
夏目:いや…
燕:そうですか。
夏目:お前は?いるのか?
燕:はい、4人。でもみんな私のせいで死にました。…夏目さま、手をつないでもいいですか?
燕:私は遠い遠い昔、鳥の雛でした。ですが、巣から落ちてしまい、それを人間が拾って、巣へと戻してくれたのです。けれど、私についた人の匂いを嫌い、親鳥たちは私たちを捨てて、去ってしまいました。兄弟たちの命が次々と消えていき、私だけが最後まで…悲しくて悲しくて、そして、私は鬼となってしまいました。ところがある日、そんな私に餌を置いていく人間が現れました。それは毎日毎日…彼は野良犬とでも勘違いしたのでしょう。でも私は、彼が運ぶ人の匂いに、拾ってくれたものの暖かさを思い出して、村が水底に沈んだ時、私が心静かに眠れたのはあの人のおかげなのです。
夏目:そうか。