周一:ねえ、どうしたの?変なお面。手から血が出てるよ。転んだ時、母さんがこうして手当てしてくれたんだ。でも母さんはもういない。体が弱っかたんだ。僕が変なものを見るせいで、不幸を巻き寄せたんだって。おじさんたちはそう言いてた。でもさ、だったらそうなる前に、誰かが僕を退治してくれればよかったのに。
柊:人はね、人の子には、不幸を招く力なんてないんだよ。
お前は優しい子だよ。やさしい、ただの子供だよ。だって私はお前に会えてこんなにうれしかったのだから。
名取: 気がつかなかったよ、あの妖怪だったんだな。首の呪縛も焼ききれた。五分五分だと思っていたんだ。呪縛から逃れられない哀れな妖怪なら、ひと思いに逝かせてやりたかったし、うまく行けば一命を取り留めて、縄を焼いて自由にしてやれるんじゃないかって。助かってよかったよ。けど夏目、済まなかった。こういう巻き込み方をしたかったわけじゃない。君を見ていると、昔の自分を思い出して、何かを伝えてやれるんじゃないか、ただ話をしていたかったんだ。
夏目:はい、僕もです。
…
夏目:甘いと言われようと、あなたのやり方には賛同できません。
名取:それもいいさ。何も同じ意見でなければならないということもないだろう。他人と分かりあうのは難しいことだよ。誰にとってもね。困ったことがあったらいつでも言ってくれ。私も友人の力になりたいからな。