《交涉人》序章二 [五十岚贵久]

《交涉人》序章二 [五十岚贵久]

2016-03-02    03'38''

主播: 大黒

175 10

介绍:
《交涉人》序章二原文 特殊捜査班に配属されたのは一年前のことだった。希望したわけではない。男女雇用機会均等法が警察組織の中で実情に即していないことを指摘された警視庁上層部が、苦肉の策としてキャリア組の一員だった麻衣子を抜擢して警備部警護課に所属させたのだった。 もちろんこれは建前としての措置であり、麻衣子は内勤で事務方を務めるはずだったが、形式を整える必要があったために警護課課長の長谷川は他の捜査官と共に研修を受けるように命じた。皮肉なことに、ほとんどおまけのような形での参加だったにもかかわらず、最も優秀な成績を収めたのは麻衣子だった。 その結果を受け、長谷川課長は実際に捜査に加わることを前提として遠野麻衣子を警備部警護課の特殊捜査班に所属させてはどうか、と内部に提案した。女性には無理ではないか、という反対意見もあったが、警護課課長代理である石田修平は長谷川の考えを支持した。特殊捜査班の最も重要な職務、いわゆるネゴシエーターには女性の方が適性がある、という持論を持っていたためだった。 石田の預かりという形で麻衣子は特殊捜査班一係に配属され、本格的な研修を受けることになった。講師は石田自身が担当することが決まっていた。これは麻衣子だけではなく、今までも新人捜査官の研修は石田が務めている。 ネゴシエーター制度はアメリカを中心に発達しているが、日本の警察機構の中ではまだ正式に認められていない。欧米型の凶悪犯罪が増加している昨今、その必要性が現場警察官から叫ばれているが、現段階では時期尚早というのが大方の意見だった。