☆拝啓 : 有馬公生様

☆拝啓 : 有馬公生様

2016-04-02    13'16''

主播: 大黒

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介绍:
拝啓: 有馬公生様。さっきまで一緒にいた人に手紙を書くのは、変な感じです。君はひどい奴です。グズ、のろま、あんぽんたん。君を初めて見たのは5つの時。当時通ってたピアノ教室の発表会でした。ぎこちなく登場したその子は、椅子にお尻をぶつけて笑いを誘い、大きすぎるピアノに向かい、一音を奏でたとたん。私の憧れになりました。音は24色パレットのようにカラフルで、メロディーは踊り出す。 (できた) 隣の子が泣きだしたのはびっくりしました。それなのに、君はピアノを辞めるんだもの。人の人生を左右しといて、ひどい奴です。 (お父さん!お母さん!) (お帰り、かをり) (お腹すいたの) (ヴァイオリン買って) (えっ?) (かをり、ピアノやめてヴァイオリンやる) (どうしたんだい、急に) (公生くんに、ピアノ弾いてもらいたいの) 最低、のろま、あんぽんたん。同じ中学だと知った時は、舞い上がりました。どうやれば声かけられるのかな。購買部にサンドイッチ買いに通おうかな。でも、結局眺めてるだけでした。だって、みんな仲間よすぎるんだもの。私の入るスペースはないんだもの。 子供の頃に手術をして、定期的に通院して中一の時に倒れたのをきっかけに、入退院の繰り返し。病院で過ごす時間が長くなりました。ほとんど学校に行けなかったな。あまり自分の体が良くないのはわかってました。ある夜、病院の待合室で、お父さんとお母さんが泣いているのを見て、私は長くないのだと知りました。その時です。私は、走り出したのです。後悔を天國に持ち込まないため、好き勝手やったりしました。怖がったコンタクトレンズ、体重を気にしてできなかったケーキホール食い、偉そうに指図する譜面も私らしく弾いてあげた。そして、一つだけ嘘をつきました。宮園かをりが、渡亮太くんを好きという嘘をつきました。その嘘は私の前に、有馬公生くん、君を連れてきてくれました。渡くんに謝っといて。 (二股男!地獄へ落ちろ!この浮気野郎が) (いいじゃねえか。女の子と遊びに行くくらい。おととい来やがれてんだ) まあ…でも、渡くんならすぐ私のことなんか忘れちゃうかな。友達としては面白いけど、やっぱり私は一途な人がいいな。あと…椿ちゃんにも謝っといてください。私は通り過ぎていなくなる人間、変な禍根を残したくなかったので、椿ちゃんにはお願いできませんでした。というか、有馬くんを紹介してなんてストレートに頼んでも、椿ちゃんはいい返事をくれなかったと思うな。だって、椿ちゃんは君のこと大好きだったから。みんなとっくに知ってるんだから。知らなかったのは君と…椿ちゃんだけ。 (ねえ、柏木) (うん?) (あの…公生の様子見てきてよ) (はっ?) (ご飯食べてるか聞いてきて) (嫌だ) (えっ?!薄情者、冷徹女) (薄情者はお前だ、超不自然だ。私に頼るな、自分で行け) (だって公生、かをちゃんが…好きな人がいなくなって、きっと落ち込んでるよ。私、何してあげたらいいか分かんないもん) (バカ椿、あんたバカなんだから、ない頭使っても仕様がないでしょう。筋肉脳が) (言いすぎじゃねぇ) (多分、特別なことなんて必要ないのよ。いつも通りでいいんだよ、きっと。こういう時は、頭に聞かないで、心に聞くもんよ) (あんたのその恋愛観どっから来たの) (BL) 私の姑息な嘘が連れてきた君は、想像と違ってました。思ってたより暗くて卑屈で、意固地でしつこくて盗撮魔。思ってたより声が低くて、思ってたより男らしい、思ってた通り…優しい人でした。度胸お橋から飛び込んだ川は冷たくて気持ちよかったね。音楽室を覗くまんまるの月は、お饅頭みたいで美味しそうだった。競走した電車には本気で勝てると思った。輝く星の下で、二人で歌ったキラキラ星、楽しかったね。夜の学校って絶対何かあるよね。雪って桜の花びらに似てるよね。演奏家なのに、舞台の外のことで心がいっぱいなのは、なんかおかしいね。 (また一段と色っぽくなっちゃって。大人になったわね) (かっこいい) (べべべ別に有馬先生のピアノになりたいなんて思ってないんだから。陳腐) 忘れられない風景がこんなに些細なことなんて、おかしいよね。 (そんなことないよ) 君はどうですか。私は誰かの心に住めたかな。 (そうだね) 私は君の心に住めたかな。 (土足で上がってきたよ) ちょっとでも…私のこと思い出してくれるかな。 (忘れたら、化けて出て来るくせに) リセットなんか嫌だよ。 (するもんか) 忘れないでね。 (うん) 約束したからね。 (うん) やっぱり、君でよかった。届くかな、届くといいな。有馬公生くん…君が好きです。好きです。好きです。カヌレ、全部食べれなくてごめんね。たくさん叩いてごめんね。わがままばかりでごめんね。いっぱいいっぱいごめんね。ありがとう。 (君は自分勝手だ。お礼を言うのは僕なのに) ps:私の宝物を同封いたします。要らなかったら破って捨ててください。 宮園かをり (大黒:一度読んでみたんだけど、やっぱ梨沙さんの声が一番いい( ´ ▽ ` )ノ)