6番目の星は前の星より10倍大きかった。そこには、分厚くて大きな本を書く老紳士が住んでいた。
王子さまを見かけると、「おや、探検家がやってきた。」と、大声で言った。
王子さまは机に腰掛け、息をついた。ずいぶん旅をしてきたものだ。
老紳士は地理学者で、海や川や町、山や砂漠がどこにあるかをよく知っていた。しかし、探検家ではないので、ぶらぶら出歩かない。ずっと研究室にいて、探険家が来たら話を書き留め、信用できると分かったら、その発見について調査を始めるのだ。「遠くから来たなら君も探険家だ。君の星について話してくれ。」
「僕の星はあまり面白くありません。とても小さいんです。火山が三つあります。活火山二つに死火山一つ。花も咲いています。」
「我々は花のことは記録しないよ。」
「なぜですか。一番綺麗なのに。」
「花は儚いからだ。地理の本はあらゆる本の中でもっとも確かな物だ。決して古くなることはない。山はめったに動かないし、海はめったに干上がらない。我々は永久不変の物だけを書き記す。」「僕の花もすぐに消えてなくなるかもしれないの?」
「もちろんだ。」
僕の花は儚い。世界から身を守るために4本の刺しか持っていない。それなのに僕は、花をたった一人きりで残してきてしまった。
この時初めて、王子さまは刺すような後悔の念に襲われた。しかし、気持ちを切り替えて、こう聞いた。
「これから、どこを訪ねたらいいでしょう。」
「地球という惑星にしなさい。なかなか評判がいいよ。」
そこで、王子さまは旅立った、花のことを思いながら。