《交涉人》第一章事件(三) [五十岚贵久]

《交涉人》第一章事件(三) [五十岚贵久]

2016-03-26    04'24''

主播: 大黒

246 18

介绍:
《交涉人》第一章事件(三) 原文 尚也はビデオカメラの位置を確認してから、非常ベルの在りかを手で確かめた。ヘルメットを脱がないというだけで、その反応は過敏すぎるかもしれないが、他に根拠がなかったわけではない。男たちは店内に入ってから、一言も口を利いていなかったのだ。 三人の男たちがそれぞれにうなずいて、レジの前に集まった。革ジャンの男が三つのカゴをまとめて台に載せる。 尚也は頭をひとつ下げて、POSリーダーでバーコードを読み始めた。ポテトチップ、ガム、コンビーフの缶詰、チョコレート、菓子パン、サンドイッチ、おにぎり、アイスクリーム、ハム、タオル、割り箸、紙皿、キムチの漬物、ペットボトルの水が三本。 (そうだよなあ) 尚也は思った。単なる早とちりだったのかもしれない。カゴの中身はそれなりにまとまっている。今から三人の男の誰かの家で、夜通し酒でも飲むのだとしたら、おかしな買い物ではない。 (俺も気が弱いよな) 頬に笑みが浮かぶ。メットぐらいでびびっていたなんて。尚也はレジを打ち終えて、数字を声に出した。 「三千八百四十七円になります」 革ジャンがうなずいて、内ポケットからナイフを取り出した。ナイフ? 「金」 メットの奥でくぐもった声がした。案外、か細い声だった。 「はい?」 思わず聞き返した。ナイフがまっすぐ尚也に向けられている。 「金」 男が繰り返した。やっぱりそうなのか。そういうことなのか。こいつらは強盗で、この店を狙って、俺にナイフを突き付けて、もし言う通りにしなかったら俺に刺すということなのか。まさか、本当にこんなことが起きるなんて。 そこまで考えるのに一秒とかからなかった。一瞬辺りを見回したが、店内には誰もいなかった。誰も助けてはくれない。叫んだところで来てくれる人はいない。 「ええと、金、ですか」